セッション情報 一般演題

タイトル 102:

潰瘍性大腸炎に発生した内分泌細胞癌の1例

演者 青見 賢明(福岡大学筑紫病院 消化器科)
共同演者 西村 拓(福岡大学筑紫病院 消化器科), 高木 靖寛(福岡大学筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器科), 西俣 伸亮(福岡大学筑紫病院病理部), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院病理部)
抄録 症例は82歳、男性。1997年(72歳時)、左側結腸炎型の潰瘍性大腸炎(UC)と診断され、近医に通院し5ASA内服とステロイド注腸で経過良好であった。2001年4月、UC診断4年後に、他院にてRbに約2cmの結節集簇様病変を指摘されEMRを施行、高分化腺癌、sm1と診断されたが、高齢であり本人の意向で経過観察となった。その後も他院で腺腫と早期癌に対し計7回の内視鏡的切除が行われた。2004年7月、近医でRaに約15mmの隆起性病変を指摘され当院を紹介受診、ESDにて切除し高分化腺癌(m、ly0、v0)+管状腺腫、断端陽性と診断されたが、高齢であり追加治療は行わず近医にて経過観察された。2006年7月、UC診断9年後、Rbに2型の癌を認め当院外科にてMiles手術施行された。切除標本の病理組織所見では一見平坦に見える2型の進行癌の辺縁粘膜は、RbからS状結腸の広範囲にわたり粘膜内高分化腺癌(m、ly0、v0)の混在した異形上皮を認め、浸潤した2型の進行癌は腫瘍径40×38mmの内分泌細胞癌(a1、ly0、v1)であった。今回、我々は診断4年後より多発早期癌を合併し、9年後には進行内分泌細胞癌が発生した潰瘍性大腸炎の1例を経験した。内分泌細胞癌は発育、転移、予後など極めて高悪性度の腫瘍である。UCに発生するcolitic cancerの多くは分化型腺癌や粘膜癌であり、内分泌細胞癌の報告は少なく、貴重な症例と考え報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, colitic cancer