セッション情報 | シンポジウム3 |
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タイトル | 研-22:下肢難治性潰瘍に合併したと考えられる続発性消化管アミロイドーシスの1例 |
演者 | 佐々木 威治(独立行政法人国立病院機構佐賀病院内科) |
共同演者 | 後藤 貴史(独立行政法人国立病院機構佐賀病院内科), 金高 賢吾(独立行政法人国立病院機構佐賀病院外科), 中島 弘治(独立行政法人国立病院機構佐賀病院外科), 中山 利浩(独立行政法人国立病院機構佐賀病院内科), 円城寺 昭人(独立行政法人国立病院機構佐賀病院外科), 山口 淳三(独立行政法人国立病院機構佐賀病院外科), 島 正義(独立行政法人国立病院機構佐賀病院内科) |
抄録 | 消化管は全身性アミロイドーシスにおいて、高頻度に傷害され、多くは、慢性関節リウマチや悪性腫瘍、結核等の慢性炎症性疾患に続発することが知られている。この他にもまれだが、長期間に及ぶ難治性皮膚潰瘍に合併する症例も報告されている。今回、我々は下肢難治性潰瘍に続発したと考えられる消化管アミロイドーシスの一例を経験した。若干の文献的考察を加え報告する。症例は52歳男性。既往歴として12歳時に末梢型知覚低下・循環不全あり精査されるも原因は不明であった。25歳時両側手足の皮膚難治性潰瘍を生じ、以後は皮膚潰瘍の寛解、増悪を繰り返していた。また、52歳時慢性甲状腺炎と甲状腺機能低下症と診断されている。その後、上下肢の皮膚潰瘍は緩解・増悪をくり返し平成18年8月に左足底難治性潰瘍部の生検目的にて当院形成外科入院となる。入院時より下痢があり、入院後4日目より腹痛出現、腹部X-P、CTにて腸閉塞の診断にて当院外科転科、イレウス管を挿入し、腸閉塞は軽快したため、イレウス管抜去した。しかし、再び腸閉塞を生じ、腹部CTにて小腸の狭窄を疑われたため開腹手術となった。手術の際、小腸粘膜に腫瘤を認めたため切除し、病理診断にて、粘膜固有層および血管壁にcongo-red染色(+)、緑色偏光を認める硝子様物質の沈着が認められ消化管アミロイドーシスと診断された。術後に頻回の水様性下痢が続き、上部・下部消化管内視鏡を施行したところ、胃、十二指腸、回腸、および結腸の著明な炎症性変化を認めた。絶食・輸液管理にて症状は軽快し内視鏡による経過観察でも炎症所見は改善を認めた。生検では胃、十二指腸、回腸、結腸にアミロイド蛋白の沈着が認められた。精査加療のため内科転科となり、全身精査を進めたが、慢性関節リウマチや他の自己免疫疾患、悪性腫瘍、結核は否定的であり、免疫染色により、反応性AAアミロイドーシスと診断された。以上より長期にわたる難治性皮膚潰瘍に合併した二次性消化管アミロイドーシスと診断した。難治性皮膚潰瘍の診療の際には消化管アミロイドーシスを念頭に置く必要性があると考えられた。 |
索引用語 | アミロイドーシス, 難治性皮膚潰瘍 |