セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 219:肝生検にて診断し得た、孤立性肝結核腫の1例 |
演者 | 上尾 哲也(大分医療センター) |
共同演者 | 本田 浩一(大分医療センター), 秦 順子(大分医療センター), 長門 仁(大分医療センター), 福地 聡士(大分医療センター), 室 豊吉(大分医療センター), 清家 正隆(大分大学 医学部 付属病院) |
抄録 | (はじめに)肝結核はほとんどの場合、肺結核に合併するびまん性粟粒型としてみられることが多く、腫瘤を形成する孤立性肝結核腫は比較的まれとされる。また、その臨床症状や、画像所見に特徴的な所見がないため、臨床的に確定診断が困難であった例がしばしば報告されている。今回我々は、肝生検にて診断し得た、孤立性肝結核腫の1例を経験したので、報告する。(症例)75歳女性。胃のもたれ、腹部膨満感を自覚し、近医を受診した際に、胃潰瘍に加えて肝内腫瘤性病変を疑われ、当科を受診した。身体所見、血液検査共に異常なく、腫瘍マーカーも陰性であった。腹部エコーにて肝左葉内区域に約1.5cm大の境界不明瞭な低エコー領域を認めた。CTでは境界が不鮮明な淡い不整形の低吸収域として認められ、造影早期にて辺縁部を中心に淡い染まりが見られた。MRIではT1強調像にて淡い低信号を呈し、T2強調像にて淡く高信号を示した。Gd-DTPA静注後のT1強調画像では、不均一に造影効果が見られた。血管造影にては、境界は不明瞭ながらA4および左肝動脈の末梢から微細な血管新生がみられ、その領域に淡い実質濃染像が認められた。同部位はCTHAにてしっかりとした濃染像を示し、CTAPでは染まり抜けする腫瘤様病変として見られた。画像所見より、肝細胞癌、胆管細胞癌などの腫瘍に加え、種々の炎症性腫瘤病変を鑑別に挙げ、肝生検を施行した。中心部に乾酪壊死含む類上皮細胞性肉芽腫の像が見られ、肝結核と考えた。その後に施行したツ反では強陽性を示し、胸部CTで右肺中葉に数ミリ台の石灰化を認め、陳旧性の肺結核に矛盾ない像と考えた。以上より臨床所見、病理像と合わせて肝結核と診断した。抗結核薬4剤併用療法を行い約3ヵ月後のMRIにて腫瘤病変は消失した。(考察)孤立性肝結核腫は、臨床症状や画像所見に特徴的な所見が乏しく、臨床的に診断が困難なことも多い。肝癌、肝内胆管癌等と鑑別が困難な肝内腫瘍病変に遭遇した場合、肝結核腫も念頭にいれ、積極的に肝生検を行う必要がある。 |
索引用語 | 肝結核腫, 肝生検 |