セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 205:著明な急性肝障害をきたしたウイルス性心筋炎の一例 |
演者 | 山下 晋作(国立病院機構 別府医療センター) |
共同演者 | 鶴田 悟(国立病院機構 別府医療センター), 茶圓 智人(国立病院機構 別府医療センター), 北村 陽介(国立病院機構 別府医療センター), 五十嵐 久人(国立病院機構 別府医療センター), 良永 雅弘(国立病院機構 別府医療センター), 酒井 浩徳(国立病院機構 別府医療センター) |
抄録 | インフルエンザA型に罹患後、著明な急性肝障害をきたし紹介され、心不全も認めウイルス性心筋炎と診断し加療した症例を経験したので報告する。症例は24歳女性。元来健康であったが、3月半ばより発熱をきたし、近医受診。鼻腔抗原検査にてインフルエンザA型陽性と診断され、総合感冒薬に加え、リン酸オセルタミビル(タミフル)、アセトアミノフェン、抗生剤を処方され内服した。翌日より嘔気、腹満、全身倦怠感あり、数日続くため近医受診。著明な肝障害を認め、当院紹介入院となった。来院時LDH 1780IU/L、AST 1220IU/L、ALT 2040IU/L、ALP 137IU/L、γGTP 50IU/Lと肝酵素の著明な上昇とともに、T.Bil 1.25mg/dlと上昇、PT 37%と低下が見られたが、血清アンモニアは34μg/dlと正常で、羽ばたき振戦や傾眠傾向など肝性脳症の所見はなかった。腹部エコー、CTにて肝はほぼ正常形態で、脂肪肝を認め、また下大静脈及び肝静脈の拡張、両側胸水、腹水を認めた。症状として、労作時息切れなど心不全症状を呈した。心エコーにてEF 33%と低下し、全体的に壁運動が低下していた。ウイルス性心筋炎と診断し、安静、利尿剤投与などの治療を開始し、心不全症状改善傾向あり、また肝機能も次第に回復した。肝障害の原因として、各種ウイルスマーカーや自己抗体は陰性であり、肝のうっ血や循環障害などが主と思われたが、インフルエンザウイルスそのものの関与、あるいは薬剤性肝障害も考えうる。著明な急性肝障害をきたす疾患として、比較的稀なウイルス性心筋炎の一例を経験したので、若干の文献的考察も含め報告する。 |
索引用語 | 急性肝障害, ウイルス性心筋炎 |