セッション情報 | シンポジウム3 |
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タイトル | 研-28:膵・胆管合流異常症に合併した分枝膵管型膵管内乳頭粘液性腺腫(Intraductal papillary-mucinous adenoma;IPMA)の一例 |
演者 | 甲斐 千晶(古賀総合病院 外科) |
共同演者 | 谷口 正次(古賀総合病院 外科), 吉川 智(古賀総合病院 外科), 加茂 仁美(古賀総合病院 外科), 中島 健(古賀総合病院 外科), 後藤 崇(古賀総合病院 外科), 山本 淳(古賀総合病院 外科), 河野 通一(古賀総合病院 外科), 指宿 一彦(古賀総合病院 外科), 古賀 和美(古賀総合病院 外科), 堀口 明彦(藤田保健衛生大学消化器外科DELIMITER南風病院 病理科), 田中 貞夫(南風病院 病理科), 斎藤 智和(古賀総合病院 外科), 北條 浩(古賀総合病院 外科) |
抄録 | 【症例】患者は67歳女性。自覚症状無し。糖尿病にて近医通院中、腹部超音波検査、CTにて膵頭部に約5cm大の嚢胞性腫瘤を指摘。2006年8月精査加療目的に当科受診。MRIで膵頭部に壁在結節を有する約5×5cm大の単房性嚢胞を認めた。ERCPでは主膵管は正常だが、副膵管の圧排所見を認め、嚢胞は造影されず。また、乳頭の開大や粘液排出はみられず。一方、膵管と胆管が十二指腸壁外で合流し、同時に描出された。総胆管末端部に狭窄を認め、ENBDチューブより採取した胆汁中のAmylase値は1,082,000IU/Lと異常値であったが、胆汁細胞診は陰性で、胆管末端部の生検でも悪性所見は認めず。以上の所見から、膵胆管合流異常症に膵粘液性嚢胞腫瘍(Mucinous cystic tumor;MCT)を合併したと診断、2007年1月、全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(pylorus-preserving pancreaticoduodenectomy;PPPD)を施行。摘出標本では、嚢胞は57×50mmで、内容液は、黄褐色混濁で、 内部に遊離する16×11×10mm大の白色結節を有した。病理組織診断では、嚢胞上皮は平坦で一部乳頭増殖パターンを示し、軽度の細胞異型、核異型を伴う細胞の単層構造の配列を認めた。壁や、間質への浸潤は認められなかった。内部の結節は、膵石であった。以上の所見から、嚢胞に関しては、膵管内乳頭粘液性腺腫(Intraductal papillary-mucinous adenoma;IPMA)と診断。術後経過は良好で、3月血糖コントロール目的で内科転科となった。【考察】膵胆管合流異常に合併したIPMAの一例を経験した。膵胆管合流異常に合併する腫瘍としては、胆道癌(約17%)の報告が多く、膵癌も散見されるが、IPMNの報告は稀である。本症例は術前のERCP及びMRIで単房性で膵管との交通が確認できなかったことから、IPMNよりMCNの可能性が高いと診断したが、最終的な病理組織診断はIPMAであった。また、嚢胞径が約5cmと大きく、かつ壁在結節を有し悪性の可能性が高く手術適応と診断した。本症例で悪性を疑う根拠の1つとなった壁在結節は、結果的に遊離する膵石であり、体位を変えた画像診断がより正確な診断に必要であったと思われた。 |
索引用語 | IPMA, 膵胆管合流異常症 |