セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-門脈圧亢進症

タイトル 消P-719:

門脈腫瘍塞栓を伴った進行肝細胞癌合併肝硬変症例に対する静脈瘤治療の必要性

演者 金山 政洋(東邦大医療センター大森病院・消化器内科)
共同演者 永井 英成(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 向津 隆規(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 松井 哲平(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 籾山 浩一(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 藤塚 宜功(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 中野 茂(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 五十嵐 良典(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 住野 泰清(東邦大医療センター大森病院・消化器内科)
抄録 【背景】進行肝細胞癌(aHCC)合併肝硬変(LC)症例に肝動注化学療法(HIAC)が行われるようになり、予後が改善されてきている。しかし門脈腫瘍塞栓(PVTT)合併例の予後は非合併症例に比し悪いのが現状であり、予後が限られた症例に入院の延長を強いる事になる静脈瘤治療をどこまで積極的に導入するべきかは、議論の余地が残されている。【目的】PVTTを伴ったaHCC合併LC症例に対する、胃食道静脈瘤治療導入の必要性の有無を検討する。【対象】aHCC合併LC患者で、2002年から2010年にHIACを導入したvp3以上のPVTTを合併した37症例。【方法】リザーバーカテーテルは胃十二指腸動脈へ留置。この際に左胃静脈(LGV)・後胃静脈(PGV)・短胃静脈(SGV)を確認した。HAICはLeucovorin 12mg/hrとCisplatin 5~10mg/hrを投与後に5-Fluorouracil 250 mg/22hrを投与し、5日間連続投与後2日間休薬を4週間施行。可能な限り繰返した。上部消化管内視鏡検査はHAIC導入前に行った。【結果】内訳は、vp3合併(vp3群)18例、vp4合併(vp4群)19例。平均年齢はvp3群66.6歳、vp4群66.9歳。男:女比はvp3群12:6、vp4群16:3。背景肝はvp3群HCV:HBV:alcohol=8:4:6、vp4群7:3:9。Child分類はvp3群A:B:C=2:13:3、vp4群3:10:6、腫瘍のstageはvp3群IVa:IVb=15:3、vp4群15:4。食道静脈瘤(EV)はvp3・vp4群共15例で認め、胃静脈瘤はvp3群6例、vp4群10例で認め、RC signはvp3群3例、vp4群5例で認めた。静脈瘤破裂は全例EVの破裂で、vp3群2例、vp4群2例だった。破裂例はLocation・Form・Colorに関係なく全例RC sign陽性で、LGV・PGV・SGV全ての開存を認めた。生存期間(中央値)は、破裂症例48日で未破裂症例の273日に比し有意差を認めなかったが短縮する傾向を認めた。【結語】PVTTを伴ったaHCC合併LC症例において、EVのRC sign陽性、特にLGV・PGV・SGV全て開存した症例には、積極的な静脈瘤治療の導入が必要であることが示唆された。
索引用語 進行肝細胞癌, 食道静脈瘤