セッション情報 シンポジウム3

タイトル 研-29:

繰り返す急性膵炎に原発性副甲状腺機能亢進症が強く関与した1例

演者 荒牧 聡(産業医科大学 消化器・代謝内科DELIMITER産業医科大学病院 臨床研修医)
共同演者 田代 充生(産業医科大学 消化器・代謝内科), 木原 康之(産業医科大学 消化器・代謝内科), 田口 雅史(産業医科大学 消化器・代謝内科), 山本 光勝(産業医科大学 消化器・代謝内科), 中村 早人(産業医科大学 消化器・代謝内科), 大槻 眞(産業医科大学 消化器・代謝内科)
抄録 症例は41歳男性。2004年7月(38歳)に急性膵炎(軽症)を発症し他医で加療されたが入院中に膵炎再発を繰り返した。同年8月より膵体尾部に多発仮性嚢胞を発症し増大したため同年12月に多発膵仮性嚢胞と膵体尾部の切除を受けた。術後1年9ヶ月間は、間欠的な上腹部違和感は時々出現したが、強い腹痛発作は出現しなかった。この間血清Ca値は10.6-12.3mg/dlで経過していた。2006年9月に急性膵炎を発症し、その後、腹痛発作を繰り返していたが、同年12月5日に背部痛も出現し、12月8日近医入院、加療目的で12月14日当科入院となった。当科転院後も膵炎再発を繰り返した。血清Ca値の持続上昇と血清P値の低下、iPTH上昇などから原発性副甲状腺機能亢進が強く疑われた。USなどの画像診断で甲状腺右下極後面の副甲状腺腫大を認め、MIBGシンチグラフィで同部位に集積が亢進していたことから原発性副甲状腺機能亢進症と診断され、当院消化器・内分泌外科で右副甲状腺腫摘出術を施行された。病理像は腺腫であった。術後、血清Ca及びP値は速やかに正常化しiPTH値も低下傾向となり、術後2ヶ月の経過で膵炎の再発や上腹部違和感も認めていない。原発性副甲状腺機能亢進症は急性膵炎の原因となることが知られているが、その頻度は必ずしも高くなく、その発症原因として高Ca血症が考えられているが、明確ではない。本症は2年以上にわたり急性膵炎を繰り返し発症しており、副甲状腺腫摘出術以降、急性膵炎の再発や上腹部違和感も消失したことから、急性膵炎の再発の原因として原発性副甲状腺機能亢進症が強く考えられた。
索引用語 急性膵炎, 原発性副甲状腺機能亢進症