セッション情報 シンポジウム3

タイトル 研-23:

難治性イソスポーラ症に対し,ミノサイクリンが有効であった1例

演者 大内 元(琉球大学第一内科)
共同演者 小橋川 ちはる(琉球大学第一内科), 井濱 康(琉球大学第一内科), 岸本 一人(琉球大学 光学医療診療部), 仲本 学(琉球大学 光学医療診療部), 平田 哲生(琉球大学第一内科), 金城 渚(琉球大学 光学医療診療部), 外間 昭(琉球大学第一内科), 金城 福則(琉球大学 光学医療診療部), 藤田 次郎(琉球大学第一内科)
抄録 症例は60歳女性.基礎疾患に成人T細胞白血病(慢性型).H13年から下痢が出現し,H15年当科外来受診し,便検査にてイソスポーラ症と診断された.ファンシダールによる治療を開始され症状改善認められたが,駆虫困難で再発性であったため,バクタ,シプロキサンなどにて加療されていた.H18年6月頃より下痢の回数が次第に頻回となり,約10日毎に下痢が出現するようになったため,12月当科入院となった.入院後ATLによる消化管病変も疑われたが,小腸造影では異常を認めず,十二指腸液の鏡検からイソスポーラのオーシストを認めたため,イソスポーラ症によるものと判断した.ファンシダールやバクタ,シプロキサンの効果が乏しいことからミノサイクリン(200mg/日)の内服を試みたところ,以後下痢は消失し,現在外来で経過観察中であるが,その後現在まで約2ヶ月間下痢を認めていない.イソスポーラ感染症は,下痢を主症状とする原虫感染症である.およそ1週間程度で治癒するが,免疫力低下を伴う基礎疾患がある場合,難治化するとされている.今回われわれは,成人T細胞白血病(ATL)に合併した難治性下痢症を主訴とするイソスポーラ感染症を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 イソスポーラ, ミノサイクリン