セッション情報 一般演題

タイトル 233:

肝内胆管癌の経過中に健康食品「虫草源」による薬物性肝障害をきたした1例

演者 橋口 正史(鹿児島大学 大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 森内 昭博(鹿児島大学 大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学), 那須 雄一郎(鹿児島大学 大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学), 重信 秀峰(鹿児島大学 大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学), 小原 一憲(鹿児島大学 大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学), 山崎 成博(鹿児島大学 大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学), 長谷川 将(鹿児島大学 大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学), 宇都 浩文(鹿児島大学 大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷  真(鹿児島大学 大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学 大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【はじめに】近年多くの健康食品が販売され、それにともなって薬物性肝障害等の健康被害が多数報告されるようになった。健康食品の種類は極めて多く、二次的な健康被害を防ぐためには商品名や健康被害の種類等の情報を蓄積することが重要である。今回、肝内胆肝癌の経過中に健康食品「虫草源」を原因とする薬物性肝障害を経験したので報告する。【症例】64歳の女性。平成15年の健診の腹部超音波検査で16mmの肝腫瘍を指摘され、近医で肝血管腫として経過観察されていた。平成18年10月の腹部CTで直径50mm程と増大したため精査目的で11月6日入院した。組織診断はcholangiocellular carcinomaで、右肝静脈、中肝静脈および下大静脈への浸潤が疑われ、外科的切除は不能と判断した。12月1日血管造影下の治療を行い、15日退院した。退院後より健康食品「虫草源」の摂取を開始した。平成19年1月11日再診時、AST 224、ALT 214とトランスアミナーゼの上昇を認め、「虫草源」を中止した。1月18日には、AST 238、ALT 225と低下を認めなかったことから自己判断で摂取を再開した。1月22日に胆管癌に対する追加治療のため再入院した際には、AST 225、ALT 205、DLST(S.I.値)9.07、好酸球7.0%の検査成績で、「虫草原」による薬物性肝障害と診断した。虫草源を中止し肝内胆管癌に対する治療を継続しながら肝機能を経過観察したところ、2月26日にはAST 40、ALT 38と前回退院時のレベルまで低下した。現在、外来にてゲムシタビンによる化学療法を継続中である。【まとめ】肝内胆管癌の経過中に健康食品「虫草源」を原因とする薬物性肝障害を経験した。「虫草源」およびその主成分である冬虫夏草による肝障害の報告は無く、報告した。担癌患者は健康食品や民間薬を摂取する機会が多いと予想され、注意が必要であると考えられた。
索引用語 薬物性肝障害, 虫草源