セッション情報 一般演題

タイトル 167:

大腸癌組織におけるPPAR delta発現と血管新生との関連に関する検討

演者 良永 雅弘(国立病院機構 別府医療センター 消化器科)
共同演者 茶圓 智人(国立病院機構 別府医療センター 消化器科), 北村 陽介(国立病院機構 別府医療センター 消化器科), 山下 晋作(国立病院機構 別府医療センター 消化器科), 鶴田 悟(国立病院機構 別府医療センター 消化器科), 五十嵐 久人(国立病院機構 別府医療センター 消化器科), 酒井 浩徳(国立病院機構 別府医療センター 消化器科), 中村 和彦(九州大学大学院 病態制御内科)
抄録 背景:核内受容体であるperoxisome proliferator-activated receptor (PPAR) deltaは、大腸癌細胞において発現が亢進しているが、発癌過程における役割が明らかにされていない。近年、大腸癌細胞において、PPAR deltaの活性化が血管内皮増殖因子(VEGF-A)の産生を亢進したとの報告がある。そこで大腸癌の切除標本を用い、癌組織内のPPAR delta発現とVEGF-A発現、及び微小血管密度 (MVD)との関連につき検討を加えた。方法:2005年-2006年に、当院で外科的または内視鏡的に切除された大腸癌33例を対象とした。それぞれの切除標本に対し、PPAR delta、 VEGF-A、CD34及びFactor VIIIに関し免疫染色を施行し、大腸癌組織におけるPPAR delta発現とVEGF-A発現、MVD及び癌細胞の脈管侵襲との関連を検討した。成績:大腸癌細胞におけるPPAR delta発現は全症例中58 %(19/ 33)に認められた。PPAR delta陽性例と陰性例を比較すると、VEGF-A発現率は陽性例で上昇し(10 /19 vs 2 /14, p< 0.05)、MVDも陽性例で増加した(p<0.05)。癌細胞の脈管侵襲例も陽性例で増加する傾向にあった(5/19 vs 1/14)。結論:大腸癌において、PPAR deltaの発現は、癌組織内においてVEGF-A発現を介して血管新生を亢進させることが示唆された。
索引用語 大腸癌, PPAR delta