セッション情報 一般演題

タイトル 210:

アルコール摂取量と脂肪肝発生の関連について

演者 今村 也寸志(鹿児島厚生連病院内科)
共同演者 平峯 靖也(鹿児島厚生連病院内科), 庄 幸男(鹿児島厚生連病院内科), 樋脇 卓也(鹿児島厚生連病院内科), 馬場 芳郎(鹿児島厚生連病院内科), 田原 憲治(鹿児島厚生連病院内科), 窪薗 修(鹿児島厚生連病院内科DELIMITER鹿児島県厚生連健康管理センター), 草野 健(鹿児島県厚生連健康管理センター), 桶谷 真(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病)
抄録 【背景】非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の病態を探る目的で、非飲酒者と飲酒者の背景の違いについて、健診データをもとに検討した。【対象および背景】対象は30~74歳の健診受診者11011名であり、脂肪肝の診断は腹部超音波検査で行った。アルコール摂取量は摂取頻度と毎回の摂取量アンケート結果から、平均摂取量を算出し、非飲酒群、1合/日未満、1合/日以上飲酒群の3群に分けて検討した。【結果】脂肪肝の発生は、全体では1合/日以上の飲酒群で最も高頻度であったが、男女別に分けて検討すると、いずれも非飲酒群の脂肪肝発生が高率であった(男性:42.2 vs 38.7 vs 37.1%, p=0.0301、女性:23.9 vs 16.8 vs 14.1%、p<0.0001)。このことは、脂肪肝の発生に対して、エタノールの代謝的影響を凌駕する、何らかの因子の関与が示唆された。男性では、中性脂肪やγ-GTPが飲酒者で高く、エタノールの影響が明らかであったが、非飲酒群と飲酒群間でBMIや空腹時血糖に差は見られず、肥満や糖尿病以外の因子の関与が示唆された。女性ではγ-GTPは飲酒者で上昇したが、中性脂肪はむしろ非飲酒者で高い値であった。また、非飲酒者では平均年齢や肥満者(BMI25以上)の比率が高く、非飲酒群における高い脂肪肝発生率にはこれらの因子の関与が示唆された。【結論】脂肪肝発生における飲酒量との関連をみると、むしろ非飲酒群で脂肪肝の発生率が高かった。個体間および男女間において代謝的な背景に差があり、このことが脂肪肝発生率の違いに関与すると考えられた。このアルコール感受性の違いは、NAFLDの病態を考える上で留意すべき問題と思われた。
索引用語 脂肪肝, アルコール