セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 194:診断に苦慮した下部胆管癌の一例 |
演者 | 矢嶌 弘之(宗教法人 聖フランシスコ病院会 聖フランシスコ病院) |
共同演者 | 山崎 和文(宗教法人 聖フランシスコ病院会 聖フランシスコ病院), 白藤 智之(宗教法人 聖フランシスコ病院会 聖フランシスコ病院), 中村 徹(宗教法人 聖フランシスコ病院会 聖フランシスコ病院), 大曲 武征(宗教法人 聖フランシスコ病院会 聖フランシスコ病院), 増田 淳一(長崎大学医学部歯学部附属病院第二内科), 水田 陽平(長崎大学医学部歯学部附属病院第二内科), 宿輪 三郎(長崎大学医学部歯学部附属病院第二内科), 河野 茂(長崎大学医学部歯学部附属病院第二内科), 田場 充(長崎大学医学部原研病理) |
抄録 | 症例は69歳、男性。発汗、腹満を主訴に近医にて上部消化管内視鏡検査を受けたが異常所見を認めず精査目的で当院紹介入院となった。上部消化管内視鏡検査を除く全身精査を行ったが大腸ポリープを認める以外には異常所見を認めず一旦退院となったが退院後すぐに腹満感、嘔吐を訴え当院外来受診し、腹部単純CTを施行したところ胃の著明な拡張と十二指腸の壁肥厚とを認め再入院となった。再入院後施行した上部消化管透視検査では十二指腸下行脚に表面がやや不整な全周性の狭窄を認めた。上部消化管内視鏡検査では十二指腸下行脚の著明な狭窄を認め、一見粘膜下腫瘍様であった。狭窄部の一部に軽度のびらんを認めた。超音波内視鏡検査では粘膜層は保たれていたが粘膜下層以深の腸管壁肥厚を認めた。狭窄部のびらん部の生検組織上はリンパ球の集簇とリンパ管へのリンパ球の充満像が認められ細胞異型を軽度認め、悪性リンパ腫の可能性も考えられた為、更なる精査後に当院血液内科にて化学療法を施行予定となった。ところが、血液内科転科後に肝機能障害と黄疸の出現を認めたために経皮的胆嚢ドレナージ術後に確定診断を兼ねた外科的手術を施行した。摘出標本肉眼所見は下部胆管を中心とした腫瘍が横行結腸間膜まで浸潤していたが、十二指腸粘膜は正常であり、Vater乳頭に微小な腫瘍の露出を認めるのみであった。病理組織診断では高分化型管状腺癌が乳頭部、下部胆管、十二指腸粘膜下層から十二指腸漿膜にかけて増殖しており、一部では膵実質に接していたが明らかな膵への浸潤は認められなかった。また、膵周囲へのリンパ節転移と神経周囲浸潤も認められた。以上より胆管癌と診断された。胆管癌は肝胆道系酵素の上昇や黄疸を主訴に発見される事が多く、肝機能異常や黄疸を伴わずに食物通過障害を来たす事は稀であり若干の文献的考察を加えてここに報告する。 |
索引用語 | 胆管癌, 腸管狭窄 |