| セッション情報 | 一般演題 |
|---|---|
| タイトル | 3:急速に進行し全身転移を来した胃内分泌細胞癌の1剖検例 |
| 演者 | 鴻江 勇和(済生会熊本病院 消化器病センターDELIMITER玉名地域保健医療センター 消化器科) |
| 共同演者 | 采田 憲昭(済生会熊本病院 消化器病センター), 塩屋 公孝(済生会熊本病院 消化器病センター), 瀬戸山 博子(済生会熊本病院 消化器病センター), 上原 正義(済生会熊本病院 消化器病センター), 江口 洋之(済生会熊本病院 消化器病センター), 浦田 淳資(済生会熊本病院 消化器病センター), 藤本 貴久(済生会熊本病院 消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院 消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院 消化器病センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院 病理), 松枝 和人(まつえクリニック) |
| 抄録 | 症例は52歳、男性。生来健康で毎年の定期健診では特に異常は指摘されず、2004年10月の上部消化管X線検査では慢性胃炎の診断であった。2005年7月上旬より食思不振と著明な全身倦怠感が出現したため近医を受診。上部消化管内視鏡検査を施行したところ、胃前庭部全体を占拠する隆起性病変を認めた。生検より悪性リンパ腫と診断され、7月26日当院紹介となり、全身状態不良のため緊急入院となった。入院時、既に経口摂取は困難でコーヒー残渣様嘔吐を頻回に認めた。上部消化管内視鏡検査では胃前庭部に小児手拳大の凹凸不整な隆起性病変を認め、一部に潰瘍がみられた。その大きさのために腫瘍全体の観察が困難で、腫瘍は前庭部をほぼ占拠していた。その際の生検では低分化腺癌または内分泌細胞癌が疑われた。理学所見で左鎖骨上リンパ節を触知し、腹部の正中にも硬い腫瘤を触知した。胸腹部CT検査にて左鎖骨上リンパ節、腹腔内リンパ節および多発性肝転移が認められたため、8月8日確定診断の目的にて頸部リンパ節生検を施行した。その後に化学療法を予定していたが病勢の進行が激しく、腫瘍出血に伴う貧血(7.8g/dl)と血小板減少(5.5万/μl)がみられ、DICを併発し、さらに意識障害も来すようになった。そのため対症療法を行なうにとどまり、8月16日、当院緊急入院から21病日で永眠された。永眠後に判明した頸部リンパ節生検の結果、細胞異型の強い腫瘍細胞が充実胞巣状~索状に増殖し、核分裂像を多数認める組織像であった。免疫染色にて、L26、クロモグラニンA陰性、シナプトフィジン陽性であったことより総合的に内分泌細胞癌と診断した。ご遺族の同意を得て剖検を行ったところ、腫瘍と周囲の所属リンパ節が一塊となっており、肝、脾、胆嚢、膵、甲状腺、副腎、膀胱、骨髄への高度の転移が認められた。胃内分泌細胞癌は全胃癌の約0.1%程度と稀であるが、病変が小さい時からすでに高度な脈管侵襲や遠隔転移を来たす高度進行例が多く、予後不良の疾患とされている。今回われわれは急速に進行し、不幸な転帰に至った胃内分泌細胞癌の1剖検例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。 |
| 索引用語 | 胃内分泌細胞癌, 急速増大 |