セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 62:ダブルバルーン小腸内視鏡検査にて診断し得た小腸GISTの一例 |
演者 | 安部 高志(大分県厚生連鶴見病院 消化器科) |
共同演者 | 永井 敬之(大分県厚生連鶴見病院 消化器科), 相馬 渉(大分県厚生連鶴見病院 消化器科), 綿田 雅秀(大分県厚生連鶴見病院 消化器科), 阿南 重郎(大分県厚生連鶴見病院 消化器科), 大河原 均(大分県厚生連鶴見病院 消化器科), 徳石 恵太(大分県厚生連鶴見病院 外科), 木村 靖彦(大分県厚生連鶴見病院 外科), 久保 宣博(大分県厚生連鶴見病院 外科) |
抄録 | 【はじめに】ダブルバルーン小腸内視鏡検査の登場により近年小腸粘膜の直接観察が可能となってきた.今回下血を主訴に来院し,ダブルバルーン小腸内視鏡にて診断し得た小腸GISTの一例を経験したので報告する.【症例】58歳の男性.特記すべき既往歴はない.平成19年1月3日より下血を認め,同日当院外来受診.採血所見上は,RBC 415万/μl, Hb 12.7 g/dl, BUN 46.1 mg/dl, Cr 1.0 mg/dl,上部・下部消化管内視鏡検査を施行するも,出血源となり得る器質的疾患を認めなかった.腹部造影CTにて,上部小腸に全周性の壁肥厚を認め,また消化管出血シンチグラフィを施行すると右側小腸にRIの分布を認め,右側小腸からの出血が強く疑われた. 1月15日経口的ダブルバルーン小腸内視鏡検査を施行したところ,上部小腸に約1/4周の血管に富む約7cm大の一部潰瘍形成を伴う隆起性病変を認め,1月18日小腸部分切除術を施行された.病理組織診では,淡好酸性胞体を有する紡錘形細胞が増殖している像を認め,免疫染色にて,c-kit・CD34・SMA染色陽性,S-100染色陰性であり,GISTと診断した.核分裂像はわずかに認められるのみで,NIHリスク分類の中リスクであった.【考察】小さいGISTではほとんど無症状で経過するが,腫瘍径の大きなGISTでは腫瘍の圧迫による消化管の通過障害や腫瘤の触知,潰瘍形成による出血が高頻度に認められる.消化管の粘膜下腫瘍の大部分はGISTの可能性が高く,粘膜下腫瘍の中で腫瘍の増大,潰瘍形成,消化管出血などの臨床所見が認められたり,腫瘍径が大きい(5cm以上)症例では,たとえGISTではなくとも悪性腫瘍の可能性が高いことを考えると,組織学的診断が得られなくとも手術治療が選択される.GISTは消化管内であれば部位を問わず発生するが,最も多いのが胃(50%)であり,小腸(25%)が次に多い部位である.造影CT等の画像診断はGIST診断に欠かすことのできない検査であるが,今回のように小腸に発生したGIST症例に対しては,内視鏡的診断や形態観察において,ダブルバルーン小腸内視鏡検査は有用な検査であると考えられた. |
索引用語 | ダブルバルーン小腸内視鏡検査, 小腸GIST |