セッション情報 一般演題

タイトル 116:

ESDにて切除し、組織学的に神経内分泌組織への分化を認めた0-Ip型食道腺癌の一例

演者 原口 和大(北九州市立医療センター 消化器科)
共同演者 原口 和大(北九州市立医療センター 消化器科), 貞元 洋二郎(北九州市立医療センター 消化器科), 赤田 憲太郎(北九州市立医療センター 消化器科), 杣田 真一(北九州市立医療センター 消化器科), 奈須 俊史(北九州市立医療センター 消化器科), 井原 裕二(北九州市立医療センター 消化器科), 三澤 正(北九州市立医療センター 消化器科), 山本 一郎(北九州市立医療センター 病理科), 豊島 里志(北九州市立医療センター 病理科)
抄録 【症例】70歳、男性【主訴】特記事項なし【既往歴】49歳時 胃癌にて幽門側胃切除術【家族歴】特記事項なし【現病歴】平成17年11月上旬に検診での上部消化管内視鏡検査にて食道の隆起性病変を指摘され、11月22日当科紹介受診。当科での上部消化管内視鏡検査にて、門歯より33cmの胸部中部食道に約2.5cm大のヨード不染の亜有茎性隆起性病変を認め、生検にてSquamous cell carcinoma, poorly differentiated with basaloid appearanceとの診断であった。食道透視では側面像での変形は認めず、深達度はmと診断した。EUSでは、病変は第2層までの低エコー腫瘍として描出され、第3層以深に狭小化を認めず、深達度はmと診断した。またリンパ節腫大も認めなかった。Esophageal cancer, 0’-Ip, T1a, N0, M0と診断し、患者の希望もあり、Total biopsyとしてESDを行う方針とした。12月21日に加療目的に当科入院となった。【入院経過】入院当日にESDを施行した。術中の合併症は特に認めず、病変を一括切除した。手術時間は68分、摘出標本は39×30mm、病変は最大径25mmであった。病理組織診断はModerately differentiated tubular adenocarcinoma with neuroendocrine differentiation restricted to the mucosa, pT1a(pMM), ly0, v0, LM(-), VM(-)であった。また免疫染色にて、腫瘍細胞は神経内分泌系マーカーである、SynaptophysinとChromograninに対し陽性であった。術後経過良好にて、術後5日目に退院となった。現在外来にて厳重に結果観察中である。【考察】食道の神経内分泌細胞癌はこれまでにも報告されているが、その多くは進行癌であり、早期癌の報告例は少ない。今回、乳頭状の特徴的な形状を示した0-Ip型食道癌で、ESDにて切除し、神経内分泌癌の形態を示した食道腺癌の一例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 食道腺癌, ESD