セッション情報 一般演題

タイトル 100:

潰瘍性大腸炎に合併した静脈血栓症の2症例

演者 尾上 公浩(熊本大学 大学院 消化器内科学)
共同演者 桜井  宏一(熊本大学 大学院 消化器内科学), 鶴田 克家(熊本大学 大学院 消化器内科学), 村尾 哲哉(熊本大学 大学院 消化器内科学), 伊藤 清治(熊本大学 大学院 消化器内科学), 永濱 裕康(熊本大学 大学院 消化器内科学), 田村 文雄(熊本大学 大学院 消化器内科学), 田中 基彦(熊本大学 大学院 消化器内科学), 荒木 智(熊本大学 大学院 循環器病態学), 永吉 靖央(熊本大学 大学院 循環器病態学), 西 晋輔(熊本大学 大学院 神経内科学), 渡邊 聖樹(熊本大学 大学院 神経内科学), 小川 久雄(熊本大学 大学院 循環器病態学), 内野 誠(熊本大学 大学院 神経内科学), 佐々木 裕(熊本大学 大学院 消化器内科学)
抄録 炎症性腸疾患では1.2~7%の頻度で静脈血栓症の合併が知られており、肺梗塞などを合併すると重篤な状態となり注意が必要である。今回我々は潰瘍性大腸炎に合併した静脈血栓症の2症例を経験したので、若干の文献的考察をふまえ報告する。
【症例1】16歳女性。2005年血便を認め近医にて潰瘍性大腸炎と診断される。2006年8月全身倦怠感、下血が増悪し近医に入院となる。著明な低栄養、貧血を認めたためIVH管理、血液製剤の投与で全身状態改善し10月20日退院となるが、退院後すぐに全身倦怠感、下肢の浮腫増悪し精査加療目的で11月2日当科入院となる。
入院時現症では、腹壁静脈の怒張を認め、両下肢や腰部の浮腫が著明で同部より大量の浸出液を認めた。血液検査ではTP 3.2g/dl Alb 1.6g/dlと低蛋白血症を認め、潰瘍性大腸炎の活動性は中等症であった。腹部造影CTにて両総腸骨静脈から腎静脈分岐部にかけて約14cmにわたり血栓を認め、静脈還流障害が状態悪化の原因と考えられた。11月13日肺塞栓予防のため下大静脈フィルターを挿入しヘパリンの投与を開始した。その後のCTでは血栓は縮小を認め、全身状態は改善した。
【症例2】35歳女性。1990年潰瘍性大腸炎を発症、再発、寛解を繰り返していた。2006年8月帝王切開にて出産。出産後潰瘍性大腸炎増悪を認め、10月18日近医入院。ステロイド増量、LCAPを行い改善を認めていたが11月6日左上下肢に知覚障害、不全麻痺が出現した。11月7日頭部単純MRIにて両側前頭葉を中心に脳表が高信号となっており精査加療目的で11月8日当院転院となる。
頭部造影MRI行ったところ上矢状洞静脈洞、左横静脈洞、左S状静脈洞に血栓を認め、頭部血管造影でも同様の所見であり、脳静脈洞血栓症と診断した。当院神経内科と共診の元、ヘパリン、ワーファリンの投与を開始。症状は頭痛、嘔気が遷延したが約2週間で消失、MRIでは血栓の縮小を認めた。潰瘍性大腸炎は抗凝固療法開始後も増悪無く順調にステロイド減量し12月5日退院となった。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 静脈血栓症