セッション情報 一般演題

タイトル 197:

EST後膵炎・出血の検討

演者 大谷 圭介(福岡大学 筑紫病院 消化器科)
共同演者 植木 敏晴(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 藤村 成仁(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 清水 愛子(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 大塚 雄一郎(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学 筑紫病院 消化器科)
抄録 [背景と目的]2005年に発表された「急性胆管炎の診療ガイドライン」によれば急性胆管炎に対しては、軽症例の一部を除き、まず胆道ドレナージを行い、全身状態改善後、乳頭処置を行うべきとしている.このように急性期の乳頭処置は積極的には選択されていないのが現状である.当科では急性胆管炎の初期治療としてESTとERBDの併用を原則としているが、EST後膵炎・出血の危険因子を明らかにし、当科での治療方針を検証することを目的とした.[対象]1992年から2006年の間に当科で経験した総胆管結石症による急性胆管炎症例363例中、内視鏡的治療を行った257例を対象とした.[方法]1.ロジスティックモデルによる単変量解析でEST後膵炎、EST後出血に影響を及ぼす因子を求めた.2.単変量解析で求めた因子を用いてロジスティックモデルによる多変量解析を行い、EST後膵炎、EST後出血に関する独立かつ有意な因子を求めた.EST後膵炎や出血に関連すると思われる因子は、年齢、性別、胆石性膵炎の合併の有無、総胆管径、結石径、EST施行時のWBC、CRP、肝胆道系酵素、precutの有無、ESTを緊急で行ったか、待期的に行ったかという治療方針を用いて解析した.[結果]当科でのEST後膵炎の発症率は5.1%、EST後出血の発生率は8.6%であった.EST後膵炎に関する要因の単変量解析ではprecutにのみ有意差があり、多変量解析でも同様であった.EST後出血に関する要因の単変量解析ではWBC、T.Bil、γGTPで有意差があったが、多変量解析ではWBCのみが有意な因子であった.[考察]急性胆管炎の初期治療として緊急ESTは妥当であるが、WBC高値例ではドレナージを優先することが肝要と思われた.precutを施行した場合、膵炎の発症率が高率であり、膵管ステントを留置するなどの予防策を講じるべきと思われた.
索引用語 EST後膵炎, EST後出血