セッション情報 | シンポジウム1 |
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タイトル | S1-02:肝癌に対する内科的局所治療を行うためには治療対象拡大への工夫が必要である |
演者 | 井上 恵(大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座) |
共同演者 | 清家 正隆(大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座), 姫野 克郎(大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座), 織部 淳哉(大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座), 高橋 祐幸(大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座), 本田 浩一(大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座), 吉松 博信(大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座), 山下 勉(杉村記念病院 消化器科), 重松 利行(杉村記念病院 消化器科), 森 哲(杉村記念病院 消化器科) |
抄録 | 【目的】当科では1100結節の肝細胞癌に対して1600回を超える経皮的RFAを行ってきた。最近は再発肝癌に対する治療機会が増え、対象患者の高齢化や肝機能低下例も増加し、治療上の工夫が必要となった。今回、人工腹水法、PSE、造影超音波下のRFA治療成績を示す。【対象と方法】対象は同一施設で経験した肝細胞癌310例、1087結節。死角や隣接臓器への対応として生食を用いた人工腹水法、血小板低下例に対するPSE法、穿刺の質的向上のための造影超音波検査の成績を示す。【結果】1625回の治療機会で人工腹水法を行ったのは104治療回数(6.4%)であった。対象部位はS8が最も多く49%、次いでS6、S7がそれぞれ15%、14%であった。生食の注入量は平均504ml、このうち65回(72%)は500ml以下の人工腹水であった。1000ml以上の人工腹水を必要としたのは10回で最高量は1250mlであった。全例に重篤な合併症はなかったが、術後の癒着のため人工腹水作成困難を6回(5.7%)に認めた。血小板低下例に対するPSEは310例中47例に施行し、その施行目的の内訳はRFA前が10例、リザーバー動注目的が15例、IFN投与の目的が20例であった。当科では次世代超音波造影剤が発売されて以降24症例32結節に本検査を施行しているが、腫瘍診断、IVR後の治療評価および追加治療の必要性の検討、正確な穿刺において有用であり、経皮的RFAの質的変化が見られた。【考察】肝細胞癌の治療成績の向上とともに、再発、再々発などを内科的に治療する機会が増加した。高齢者や肝機能低下症例も増え、高度な穿刺技術が要求される機会も多く、治療対象を拡大する戦略が必要である。【結語】肝細胞癌の局所治療において人工腹水やPSE、造影超音波法は今後欠かせない手技となりうると考えられる。 |
索引用語 | 肝細胞癌, 内科的局所治療 |