セッション情報 シンポジウム2

タイトル S2-01:

拡大内視鏡観察による分化型早期胃癌の微小血管診断の有用性について検討

演者 田中 朋史(服部胃腸科)
共同演者 尾田 恭(服部胃腸科), 服部 正裕(服部胃腸科)
抄録 目的)拡大内視鏡観察でみられる分化型早期胃癌のIMVPをより具体的に示す指標、また分化型早期胃癌の診断としてIMVP、DLの有用性について自験例を基に検討した。方法)期間は2006年12月~07年3月。対象は当院で内視鏡的治療した分化型胃癌症例12例、コントロール群は同時期に得られた慢性胃炎の発赤、びらん症例34例とした。拡大内視鏡観察で見られる微小血管のパターンを(a. 血管走行の逸脱、b. 血管不同口径、c. 血管密度の増加、d. 血管の多分枝性)の4つに分け、一項目でも満たせばIMVPと判断した。血管パターン別に胃癌の陽性的中率を判定した。またIMVP、DLが分化型胃癌の診断に有用であるかについて感度、特異度とオッズ比により検討した。結果)I. IMVP内の血管パターンの割合は、分化型早期胃癌群においてa. 血管走行の逸脱:83%(10/12)、b. 血管不同口径:50%(6/12)、c. 血管密度の増加:16%(2/12)、d. 血管の多分枝性:25%(3/12)であり、発赤、びらん群ではa. 12%(4/34)、b. 3%(1/34)、c. 6%(2/34)、d. 9%(3/34)であった。II. 各血管パターン別の分化型早期胃癌の陽性的中率はa. 71%(10/14)、b. 85%(6/7)、c. 50%(2/4)、d. 50%(3/6)であった。III. DL、IMVPの占める割合は、分化型早期胃癌群においてDL:42%(5/12)、IMVP:83%(10/12)。発赤、びらん群ではDL:18%(6/34)、IMVP:15%(5/34)であった。IV. 分化型胃癌診断の検出力としてDLの感度と特異度は42%(5/12) 、82%(28/34)、IMVPの感度と特異度は83%(10/12)、85%(29/34)であった。またDL のオッズ比は3.3(5×28/7×6)、IMVPのオッズ比は29(10×29/5×2)であった。結論)拡大内視鏡観察でみられる分化型早期胃癌のIMVPを示唆する所見として、微小血管の血管走行の逸脱と血管不同口径が有用となる可能性が示唆された。分化型胃癌の診断にはIMVPが有用である可能性が示唆された。
索引用語 IMVP, 微小血管のパターン