セッション情報 一般演題

タイトル 9:

gastritis cystica profunda(GCP)を母地として発症した残胃癌の一例

演者 小村 浩史(古賀総合病院 内科)
共同演者 田井 博(古賀総合病院 内科), 中島 健(古賀総合病院 外科), 古賀 和美(古賀総合病院 外科)
抄録 Gastritis cystica profunda(GCP)は術後長期経過した胃空腸吻合部に時にみられる特異的な慢性炎症性胃病変で、無茎性のポリープ状隆起を呈する。病理学的には腺窩上皮の過形成、固有腺の萎縮、偽幽門腺の増殖と嚢包状化、腺の粘膜下侵入を特徴とするもので癌の合併が多く、前癌病変の可能性が示唆されている。今回、われわれは胃潰瘍の術後53年経過したBillroth-II法再建の吻合部癌を経験した。症例は66歳の男性。53年前に胃潰瘍に対しBillroth-II法再建による幽門側胃切除術が施行された。今回、検診胃透視で異常を指摘され、近医で施行された胃内視鏡検査にて吻合部に隆起性病変を認めた。同院での生検では異型腺管であった。そのため精査加療目的にて当院紹介受診し、当院で行った胃内視鏡検査では吻合部大弯側に境界不明瞭な発赤調の隆起性病変を認めた。生検にて中分化型腺癌と診断された。吻合部を含めた残胃全摘、Roux-en-Y吻合で再建を行った。切除標本では0-IIc+IIa、T1(m)、tub1+pap、ly0、v0、の早期胃癌であった。また、背景粘膜には腺窩上皮の過形成などGCPを示唆する所見を伴っていた。以上により本症例はGCPを母地として発症した残胃早期胃癌と考えられた。GCPを母地として発症する残胃癌は大部分がBillroth-II法再建であり、初回術後10年以上という長期間の後に発症している。また、癌発生部位の特徴として吻合部大弯側に多いという報告がみられる。今後は残胃の検査の際、以上の点を念頭において行う必要があると思われる。
索引用語 GCP, 胃癌