セッション情報 一般演題

タイトル 110:

化学放射線療法が奏効した食道原発小細胞癌の一例

演者 森戸 清人(佐賀大学医学部 一般・消化器外科)
共同演者 平木 将紹(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 田中 雅之(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 佐藤 清治(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 甲斐 敬太(佐賀大学医学部 病因病態科学講座), 北島 吉彦(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 中房 祐司(佐賀大学医学部 一般・消化器外科), 宮崎 耕治(佐賀大学医学部 一般・消化器外科)
抄録 症例は69歳男性. 主訴:嚥下困難感. 現病歴:2006年7月より嚥下困難感を認めるため近医を受診し、精査にて食道癌と診断. 加療目的に9月5日当院を紹介された.既往歴:糖尿病、気管支喘息、高血圧症.喫煙歴:17~65歳. 飲酒歴:ビール1本、焼酎1合/日.血液検査:空腹時血糖144mg/dl, HbA1c 10.0%と耐糖能異常を認めたが、他の異常所見は認めなかった. 腫瘍マーカーはCEA: 5.0ng/ml, CA19-9: 15U/ml, SCC: 0.8ng/ml, CYFRA: 1.8ng/ml, NSE 8.1ng/mlといずれも基準値以内であった. 呼吸機能検査では1秒率36%と閉塞性換気障害を認めた. 各種画像検査では胸部中部食道の左側壁を中心に2/3周性、長径8cmの2型の腫瘍を認め、周囲臓器と接しているものの明らかな浸潤は認めなかった.組織生検では腫瘍細胞はsynaptophysin陽性、部分的にCD56陽性であり小細胞癌と診断された。全身検索では他臓器に病変は認めなかった. 以上の所見より食道癌原発小細胞癌, cT3, cN1, cM0, cIMO, cStage IIIと診断した. 高度の閉塞性換気障害を認め手術リスクが高いことと、生物学的に悪性度の高い小細胞癌であり、化学放射線療法に対し感受性が高いと一般的に言われていることなどの理由により、化学放射線療法を施行した。放射線治療として10月5日から11月17日まで総線量60Gy施行し、化学療法はTS-1/CDDP併用療法を施行した。退院前に効果判定を行ったが、癌の著明な縮小効果を認めた。今回我々は化学放射線療法が奏効した食道原発小細胞癌の一例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 食道癌, 小細胞癌