セッション情報 一般演題

タイトル 26:

8年後に直腸狭窄を来たした転移性直腸癌の一例

演者 浦岡 尚平(直方中央病院 消化器科)
共同演者 田畑 寿彦(直方中央病院 消化器科DELIMITER九州大学大学院医学研究院病態機能内科学), 石橋  英樹(直方中央病院 消化器科), 川崎 啓祐(直方中央病院 消化器科DELIMITER九州大学大学院医学研究院病態機能内科学), 松本 主之(九州大学大学院医学研究院病態機能内科学), 飯田 三雄(九州大学大学院医学研究院病態機能内科学)
抄録 症例は54歳、女性。主訴は、粘血便。2006年11月上旬より、腹部膨満感を自覚し、イチゴジャム様の粘血便が持続していた。7日、近医を受診し、血液検査で著明な炎症所見を認め、細菌性腸炎と診断され、抗生剤(LVFX300mg/日,CTRX2g/日)が継続投与された。臨床症状、血液検査の改善を認めず、13日当院へ紹介入院となる。既往歴は、8年前に子宮体癌にて、子宮全摘術を施行された。入院時検査所見は、血液検査で炎症所見(WBC8300/ml,CRP15.1mg/dl)を認めた。腹部レントゲンでは著明な腸管ガス像を認め、腹部CTでは直腸の壁肥厚、口側の腸管拡張を認め、直腸狭窄によるイレウスと診断した。15日、S状結腸内視鏡検査を施行し、Rsに潰瘍を伴う隆起性病変を認め、完全狭窄しており、スコープの通過は困難であった。潰瘍辺縁、潰瘍底より生検したが、悪性所見は得られなかった。同日、ガストログラフィンにて注腸造影を施行し、RsからS状結腸にかけて全周性狭窄を認めた。確定診断がつかないまま、絶食、輸液、抗生剤(CZOP2g/日)投与を継続したが、狭窄は改善せず、12月1日当院外科にて人工肛門造設術を施行した。直腸(Rs)は、小児手拳大に炎症性に腫大し、背側腹壁と強固に固定され、剥離は困難であった。術後経過良好であり、12月22日退院した。2007年1月17日、S状結腸内視鏡検査を施行し、Rsの狭窄部は前回より軽減し、スコープ(PCFQ260AZI)の通過は可能であった。狭窄部には、易出血性のSMT様隆起性病変を認め、同部位より生検した。生検結果より、異型細胞を多数認め、免疫染色ではcytokeratin7,estrogen receptor,progesterone recepter全て陽性であり、子宮癌による転移性直腸癌と病理診断された。8年後に再発した子宮癌による転移性直腸癌であり、稀な症例を経験したので、文献的考察を含め報告する。
索引用語 転移性直腸癌, 子宮癌