セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-その他

タイトル 消P-723:

アルブミン製剤のレドックス状態:肝硬変症における臨床効果への影響と製剤還元法

演者 坂田 雅浩(久留米大・消化器内科)
共同演者 川口 巧(久留米大・消化器内科DELIMITER久留米大・消化器疾患情報), 谷口 英太郎(久留米大・消化器内科), 安倍 満彦(久留米大・消化器内科), 古賀 浩徳(久留米大・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科DELIMITER久留米大・消化器疾患情報)
抄録 【目的】アルブミン(Alb)は酸化型あるいは還元型として存在し、酸化型では抗酸化力等が低下する。慢性肝疾患では病期の進展に伴い血清Alb値の低下を認めるが、酸化型Alb(%)は逆に高値を示す事が報告されている。肝硬変に進展すると、腹水等を合併しAlb製剤を用いることがあるが、Alb製剤によってその酸化型Alb(%)には違いがある。我々は、慢性肝疾患を対象とし、Alb製剤の製品間における効果の差異を評価するとともに、Alb製剤の還元法についても検討した。
【方法】Alb製剤を投与された肝硬変患者31例を対象とし、Alb製剤の酸化・還元型Alb比(%)はHPLC法で測定した。酸化型Alb(%)が60%以上の製品を投与された12名(60%-Alb群)と酸化型Alb(%)が50%以下の製品を投与された19名(50%-Alb群)の2群に群別し、投与前後の臨床データを比較検討した。Alb製剤の還元化は、4社のAlb製剤と強力ネオミノファーゲンシー(SNMC)を用いて検討した。
【成績】60%-Alb群と50%-Alb群の患者背景(性、年齢、Child-Pugh score、塩分摂取量、利尿剤、投与後データ測定までの期間等)に差は認めなかった。両群ともにAlb製剤投与後の血清Alb値は有意に上昇したが、BMIの減少は50%-Alb群でのみ認められた(P=0.002)。ロジスティック解析においても酸化Alb(%)がより低いAlb製剤の使用が、投与後体重減少に寄与する独立因子であった (OR 10.6, 95%CI1.304-86.307, P=0.02)。25%Alb製剤50mLとSNMCを40mL混合した結果、還元型Alb(%)は有意に上昇した(製品A;30.3±0.16 vs. 69.7±0.85, p<0.01)。Alb製剤の還元型Alb(%)は、SNMC容量依存性の変化を認め、混合後15分にピークに達した(混合後10分:63.9±0.27%; 15分:69.7±0.85%; 60分:66.3±0.90%; 540分:40.3±0.19%)。他社3製品においても同様の変化が認めた。
【結論】肝硬変症において、使用するAlb製剤の酸化型Alb(%)と投与後の体重変化に関連を認めた。また、Alb製剤の還元型Alb(%)は、SNMC混合により増加した。
索引用語 アルブミン, 肝硬変