セッション情報 一般演題

タイトル 247:

ダブルバルーン小腸内視鏡検査後の敗血症性ショックに対してエンドトキシン吸着療法が著効した消化管出血の2例

演者 坪内 直子(国立病院機構 鹿児島医療センター 消化器内科)
共同演者 岩下 祐司(国立病院機構 鹿児島医療センター 消化器内科), 藤島 弘光(国立病院機構 鹿児島医療センター 消化器内科), 藤田 浩(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 真(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 近年ダブルバルーン小腸内視鏡(以下DBE)が普及し、原因不明の消化管出血の際には必須の検査となりつつある。今回我々は、消化管出血の精査目的で行ったDBE後に敗血症性ショックとなり、エンドトキシン吸着療法で救命した2例を経験したので報告する。
<症例1>80歳の女性。2006年9月からの数ヶ月間に3回下血を認めていた。2007年1月22日に再度下血し、2月1日に当科に入院した。2日の経肛門的DBEでは出血源は同定できなかった。検査は合併症なく終了したが、6日朝より39度台の発熱が出現した。直ちにCTM 2g/dayを投与したが、昼より血圧が70mmHg台に低下した。昇圧剤の投与にも反応せず、bacterial translocationによる敗血症性ショックと考えた。7日よりエンドトキシン吸着療法を開始したところ、数時間で血圧は上昇した。血中エンドトキシンは4.8pg/mlと上昇し、血液培養からAcinetobacter baumannii/haemolyticusが検出された。
<症例2>69歳の女性。2007年3月12日に下血を認め、当科に入院した。同日の上部及び下部消化管内視鏡検査で小腸出血が疑われた。13日に経口的、14日に経肛門的DBEを施行したが、出血源は同定できなかった。検査は合併症なく終了し、13日よりPIPC 4g/dayを投与していたが、15日夜より39度台の発熱が出現した。直ちにCPZ/SBT 1gを投与し、16日朝よりMEPM 2g/dayに変更した。しかし、血圧が80mmHg台に低下したため、敗血症性ショックと考えエンドトキシン吸着療法を行った。開始後速やかに血圧は上昇し、その後炎症所見も改善した。血中エンドトキシンは191pg/mlと著しい高値であったが、血液培養は陰性であった。<結語>Bacterial translocationによる敗血症性ショックは、DBE後に注意すべき重篤な合併症であり、治療にはエンドトキシン吸着療法が有効である。
索引用語 ダブルバルーン小腸内視鏡, 敗血症性ショック