| セッション情報 | 一般演題 |
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| タイトル | 137:血管造影にて仮性動脈瘤と診断し、塞栓術にて止血した出血性胃潰瘍の一例 |
| 演者 | 萬年 孝太郎(佐賀大学 医学部 消化器内科) |
| 共同演者 | 大谷 響(佐賀大学 医学部 消化器内科), 樋口 徹(佐賀大学 医学部 消化器内科), 鶴岡 ななえ(武雄市立武雄市民病院 消化器内科), 吉川 敦(武雄市立武雄市民病院 消化器内科), 白石 良介(佐賀大学 医学部 消化器内科), 山口 加奈子(佐賀大学 医学部 消化器内科), 渡邉 顕一郎(佐賀大学 医学部 消化器内科), 藤瀬 剛弘(佐賀大学 医学部 消化器内科), 下田 良(佐賀大学 医学部 消化器内科), 綱田 誠司(佐賀大学医学部 光学医療診療部), 坂田 祐之(佐賀大学 医学部 消化器内科), 岩切 龍一(佐賀大学医学部 光学医療診療部), 藤本 一眞(佐賀大学 医学部 消化器内科) |
| 抄録 | 今日では、出血性潰瘍症例の殆どが内視鏡的止血術で永久止血を得ることができるようになっている。しかし、露出血管径が大きい場合は止血困難で、外科的治療が必要とされる症例も少なからず存在するのが実情である。今回我々は内視鏡的止血術が困難であった出血性胃潰瘍に対して、血管造影により仮性動脈瘤と診断され、塞栓術にて止血した一例を経験したので報告する。 症例は63歳女性。吐下血にて近医を受診、同日に緊急上部消化管内視鏡が施行され、胃体中部後壁に大きな露出血管を伴った潰瘍が認められた。内視鏡的止血術として、HSE局注及びトロンビン散布が施行された。しかし6日後に再度吐下血及び貧血の進行を認めたため、当院に転院となった。転院直後の緊急内視鏡にて胃体中部後壁に、前医で確認されている露出血管を伴う潰瘍を確認。血管径は約3mmと非常に大きく内視鏡的止血は困難と判断し、まずは絶食およびPPI投薬下に経過観察することとした。発症より10日後の内視鏡では、露出血管は縮小しているものの潰瘍底に残存しており、内視鏡的止血術を試みることとした。しかし凝固鉗子による焼灼、無水エタノール注入にても止血できず、血管造影による止血を行うこととした。血管造影では、明らかな原因血管を同定することはできなかったが、バイタルサイン安定し止血状態にあったことにより、外科的治療は見合わせさらに経過をみることとした。発症より14日後の内視鏡では、拍動する大きな露出血管の残存を認め、再度血管造影下塞栓術を試みることとした。左胃動脈の分枝に仮性動脈瘤を認め、1mm角ゼラチンスポンジ細片にて抹消を塞栓後に近位部に2mm径のマイクロコイル2個を留置した。塞栓術後、仮性動脈瘤は描出されなくなった。以降は再出血なく経過良好にて退院となった。 内視鏡的止血術が困難な症例では、血管造影下の塞栓術が有効な手段であり、外科的切除の前に考慮するべきである。若干の文献的考察を加え、報告する。 |
| 索引用語 | 出血性胃潰瘍, 仮性動脈瘤 |