セッション情報 シンポジウム3

タイトル 研-20:

糞線虫駆虫により軽快した潰瘍性大腸炎の一例

演者 金城 譲(那覇市立病院 内科)
共同演者 豊見山 良作(那覇市立病院 内科), 仲地 紀哉(那覇市立病院 内科), 島尻 博人(那覇市立病院 内科), 大湾 朝二(那覇市立病院 内科), 金城 福則(琉球大学 光学医療診療部)
抄録 症例は65歳女性。平成18年4月6日より1日5~6回の粘血便、排便後の腹痛・悪心を認め、翌日近医受診。下部消化管内視鏡検査を施行した結果、憩室炎、虚血性腸炎と診断され、入院の上欠食、補液、抗生剤にて経過観察。その後症状軽快し、外来フォローとなったが、6月26日に38℃台の発熱、下腹部の違和感・排便回数の増加が出現。再度近医入院し、前回と同様の治療を行うも改善みられなかった。そこで7月7日に下部消化管内視鏡検査を施行したところ、直腸からS状結腸にかけて多発性潰瘍を認めた為、潰瘍性大腸炎の診断のもと5-ASAの内服・注腸、メトロニダゾール内服開始した。しかしそれでも症状改善乏しい為、精査・加療目的に7月14日当院紹介入院となった。ステロイド投与が予想される為、便糞線虫検査施行したところ陽性。ステロイド投与により糞線虫感染が増悪する可能性がある為、まずイベルメクチンを内服し、その上で欠食、補液、5-ASAの内服・注腸、プレドニゾロン注腸、また潰瘍部からのbacterial translocationの可能性も考え抗菌薬も併用して治療を開始した。その後徐々に解熱傾向にあり、下痢の回数は減少し腹痛も消失した。翌週の便検査では糞線虫培養は陰性であった。食事開始、抗生剤中止後も症状の増悪認めず、経過良好であった為、8月3日に退院となった。今回我々は糞線虫駆虫が、潰瘍性大腸炎の臨床的緩解導入に有用だったと考えられる稀な症例を経験したので報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 糞線虫