セッション情報 一般演題

タイトル 90:

多彩な術後合併症を併発した続発性アミロイドーシス合併クローン病の1例

演者 池田 拓人(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科)
共同演者 佛坂 正幸(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科), 土屋 和代(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科), 日高 秀樹(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科), 前原 直樹(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科), 丸塚 浩助(宮崎大学病理学講座構造機能病態学分野), 浅田 祐士郎(宮崎大学病理学講座構造機能病態学分野), 千々岩 一男(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科)
抄録 今回アミロイドーシスを合併し,多彩な術後合併症を併発した小腸大腸型クローン病の1例を経験したので報告する.患者は28歳男性,12歳時よりクローン病と診断されプレドニンなどの内服加療を行われていた.2006年2月近医の小腸透視検査により十二指腸盲腸瘻,十二指腸S状結腸瘻を指摘され,当院第1内科を通じ当科へ紹介された,術前のステロイド総投与量はプレドニン換算35g以上,術直前の投与量は 10 mg であった.同年5 月十二指腸瘻孔部楔状切除,回盲部切除,S状結腸部分切除術を施行した.切除腸管の病理組織学的検査では血管周囲にAAアミロイドの沈着を認め続発性アミロイドーシス合併クローン病と診断された.術後縫合不全を発症し,人工肛門造設術施行したが,胸水の貯留,創し開,肝膿瘍,心嚢液貯留も認めた.さらに十二指腸縫合閉鎖部からの消化管出血を併発した.また.その後発生した膀胱出血により膀胱タンポナーデ,急性腎不全を併発した.膀胱鏡による止血を試みたが止血は困難で両側内腸骨動脈の塞栓術と膀胱内持続洗浄により止血し.その後も急性膵炎,甲状腺機能低下症等を併発した.保存的加療にていずれも症状は軽快し,エレンタールの投与を開始したが腸管からの吸収が不良であり,水様下痢が続いた. そのため補液を中止すると脱水状態となり,腎機能の低下を招いた.現在患者は食事を開始した後,外来でフォロー中である.本症例では,術後に合併症が多発し,その原因としてアミロイドーシスおよび長期間にわたるステロイド投与の関与が強く示唆された.アミロイドーシスの合併はクローン病の経過中に認められることがまれにあり,合併した場合,腎不全や消化管出血等が原因で不幸な転帰をとることが多い.クローン病の手術に際しては同疾患の合併を念頭におかなければならないと思われた.
索引用語 クローン病, アミロイドーシス