セッション情報 ワークショップ2

タイトル W2-05:

当院の内視鏡的十二指腸乳頭部腫瘍切除の検討

演者 浦田 淳資(済生会熊本病院消化器病センター)
共同演者 多田 修治(済生会熊本病院消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院消化器病センター), 宮瀬 秀一(済生会熊本病院消化器病センター), 上川 健太郎(済生会熊本病院消化器病センター), 尾崎 徹(済生会熊本病院消化器病センター), 瀬戸山 博子(済生会熊本病院消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院消化器病センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院消化器病センター)
抄録 内視鏡的十二指腸乳頭部腫瘍切除治療は、外科的切除に比べ侵襲が少なく、完全生検・根治としての意義をもっている。今回当院で経験した内視鏡的十二指腸乳頭部腫瘍切除例23例を検討した。【対象】2003年7月~2007年1月までに内視鏡的十二指腸乳頭腫瘍切除を行った男性13例、女性10例、年齢は34~87歳(平均:54.9歳)を対象とし、生検で19例は腺腫、4例は癌であったが、癌症例は患者の強い希望にて治療を行った。【方法】術前にEUS・ERCPで腫瘍の深達度、胆管・膵管への浸潤を診断し、インジゴカルミン液散布後腫瘍範囲を把握し、切開モードまたはエンドカットモードで切除した。切除後にERCPを行い、ERPDチューブ(5Fr,5cm)またはERBDチューブ(8.5Fr,5cm)を挿入した。1)術前EUS・ERCPによる診断、2)病理組織学的検討、3)切除中・切除後の偶発症に対する治療の検討等を項目に上げ、本治療の評価をおこなった。【成績】術前の23例のEUS,ERCPによる十二指腸固有筋層、胆管・膵管浸潤の評価と術後病理との対比では相違はなかった。術後病理診断比較では、癌の診断だった4例中3例は腺腫へ、1例は癌から腺腫内癌へ病理診断変更があった。7例(30%)で切除側方断端がわずかに陽性の可能性があったが、切除後の影響もありと診断が困難にてフォローとしたが、経過フォロー中の生検では腫瘍残存は認めなかった。1例は明らかに切除断端陽性で追加切除を施行した。また切除後19例にERPDチューブを、3例にERBDチューブを挿入した。切除後のわずかなoozing様出血症例があったが、クリップ・HSE・APC等での止血治療が充分可能で、輸血を必要とする症例が1例あった。高AMY血症が2例(8%)・胆管炎1例(4%)認め、ドレナージチュ-ブ挿入で改善した。また2例に腸管穿孔が見られたが、保存的に治療しえた。平均在院日数は13.4日であった。【結語】当院で施行した内視鏡的十二指腸乳頭部腫瘍切除は切除後の少出血の管理が最大の問題点であったが、本治療はERCP関連手技を熟知した内視鏡医が施行し、術後合併症に対する補助的治療が充分であれば、基本的に安全な治療であると思われた。
索引用語 内視鏡的十二指腸乳頭部腫瘍切除治療, 術前術後診断・治療・管理