セッション情報 | シンポジウム3 |
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タイトル | 研-05:急速な増大を来し診断に苦慮した十二指腸水平脚の悪性リンパ腫の1例 |
演者 | 上谷 浩之(済生会熊本病院 消化器病センター) |
共同演者 | 江口 洋之(済生会熊本病院 消化器病センター), 上原 正義(済生会熊本病院 消化器病センター), 吉田 健一(済生会熊本病院 消化器病センター), 浦田 淳資(済生会熊本病院 消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院 消化器病センター), 藤本 貴久(済生会熊本病院 消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院 消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院 消化器病センター), 森北 辰馬(済生会熊本病院 腫瘍内科), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院 病理) |
抄録 | 症例は79歳、男性。平成18年2月14日、頻回の嘔吐のため近医入院。当初、胃管挿入にて症状改善するも再び増悪し、その後完全に閉塞症状を来すようになった。2月14日と21日に同院にて施行された腹部単純CT検査では十二指腸水平脚に内腔狭小化を認めたが、明らかな腫瘤は認められなかった。さらに、2月20日と3月1日に上部消化管内視鏡検査が施行され、十二指腸水平脚に粘膜面の腫脹を伴う狭窄を認めたが明らかな上皮性変化の露出はなく、生検でも腫瘍成分は認められなかった。しかし、小腸X線検査にて十二指腸水平脚から上行脚にかけての不整な狭窄像を認めたため、十二指腸癌による狭窄を強く疑い、3月9日に当院転院となった。入院当初、経鼻胃管からは1日1000ml以上の排液を認めたが、比較的高齢の上、肺気腫による閉塞性呼吸障害もあり、十二指腸癌であれば根治手術は困難と思われた。当院で施行した腹部超音波検査では、十二指腸水平脚に6cm大の腫瘍を認め、脾臓には9cm大の転移と思われる腫瘤像を、さらに腸間膜および後腹膜のリンパ節が多数腫脹しており、腹膜播種を疑わせるような結節も多く認められた。内視鏡検査を行ったところ、十二指腸水平脚の狭窄部位に腫瘍の露出を認め、同部の生検よりDiffuse large B-cell lymphoma(DLBL)と診断したため、化学療法を行う方針とした。R-THP・COP療法(RTX、CY、VCR、THP、PSL)を2クール終了後の内視鏡検査では十二指腸水平脚に瘢痕狭窄を呈していたが腫瘍は消退し生検でも悪性細胞は認めず、経口摂取可能になった。腹部CT検査でも腸間膜、後腹膜リンパ節、脾病変は著明に縮小していた。その後もR-THP・COP療法を継続し、6月28日前医へ転院となった。今回われわれは、急速な増大を来し診断に苦慮した十二指腸水平脚の悪性リンパ腫の1例を経験したので文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 | 十二指腸水平脚, 悪性リンパ腫 |