セッション情報 一般演題

タイトル 228:

経皮的ラジオ波焼灼術後に横隔膜ヘルニアを合併した2症例

演者 内村 浩太郎(新日鐵八幡記念病院 消化器科)
共同演者 大橋 朋子(新日鐵八幡記念病院 消化器科), 梶原 英二(新日鐵八幡記念病院 消化器科)
抄録 【はじめに】経皮的ラジオ波焼灼術後遅発性の合併症の一つとされ、未だ報告の少ない横隔膜ヘルニアを合併した2症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。【症例1】66歳、男性。元来好酒家、1960年頃に輸血歴あり。2001年7月S4/8に肝細胞がんが初発しPEIT施行。11月局所再発に対してRFA施行。2002年6月S7の再発にRFA施行。11月S1の再発に肝動脈塞栓術施行。2003年2月S6の再発にRFA施行。4月S2の再発にRFA施行。7月には多発再発し、スマンクス動注を施行。9月、昏睡状態にて救急外来を受診。肝性脳症と考えて入院加療したところ、意識状態は軽度のみ改善したが、第5病日よりイレウス症状を伴い意識レベルが再低下、胸写上右胸腔内に腸管ガスを認め横隔膜ヘルニアに伴なう絞扼性イレウスと診断した。第7病日には敗血症性ショックにより死亡した。剖検時の開頭にて感染性脳梗塞の所見を認め、これが意識障害の原因と考えられた。【症例2】86歳、女性。飲酒歴、輸血歴なし。2000年より高血圧及びC型肝炎と診断され近医に通院。2003年3月PIVKA2上昇とS4のエコーレベルの乱れを指摘され、4月当院初診。入院精査で明らかな肝細胞がんの所見を認めず経過観察していたところ、11月にCT上S4に造影効果が出現したため、肝細胞がんの診断でRFA施行。2004年9月、イレウス症状にて救急外来を受診、緊急入院となり絶食下に経過を見たが、イレウス症状は増悪していった。第3病日には右胸水が出現、第5病日には更に胸水が増加し、胸腔内に腸管ガス像を認めたため横隔膜ヘルニアによる絞扼性イレウスと考え緊急開腹手術を行った。術後徐々に肝不全が進行するとともに全身状態が悪化し、手術から3ヵ月後に死亡となった。【考察】文献的に、横隔膜ヘルニアは術後1年程度で生じる合併症であり、敗血症などを併発し致死的なことが多い。ドーム下の腫瘍を焼灼後、焼灼の影響で脆弱化した横隔膜が腹水の貯留などによる腹圧の上昇で破綻してヘルニア門が生じ、横隔膜と萎縮した肝臓との間に腸管が入り込むことで生じると考えられ、横隔膜下の腫瘍を焼灼する際には横隔膜に熱が波及しない工夫が必要と思われる。
索引用語 経皮的ラジオ波焼灼術, 横隔膜ヘルニア