セッション情報 一般演題

タイトル 81:

自己免疫性膵炎の経過中にAMA M2陽性の肝機能障害を呈した1例

演者 藤本 千夏(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科)
共同演者 藤森 尚(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科), 大江 真里(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科), 太田 聡(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科), 横田 昌樹(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科), 澄井 俊彦(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科), 船越 顕博(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科)
抄録 【症例】77歳男性。2003年9月糖尿病と診断しインスリン開始。腹部CTにて膵体尾部のびまん性腫大を認め自己免疫性膵炎(AIP)を疑ったが、確定診断に至らず経過観察とした。2006年3月、肝機能障害を認め、4月に入院。入院時T-bil 0.6mg/dl、AST 108IU/l、ALT 95IU/l、LDH 229IU/l、ALP 3252IU/l、γGTP 1198IU/lと肝胆道系酵素の上昇を認めた。HBsAg(-)、HBsAb(-)、HBeAg(-)、HBeAb(-)、HBcAb(+)、HBV-DNA(-)、HCVAb(-)、ANA80倍、AMA M2(+)、HLA-DR4(+)、IgG 1822mg/dl、IgA 299mg/dl、IgM 37mg/dl、IgG4 167mg/dlであった。腹部CTで膵萎縮、肝外胆管壁の肥厚、MRCPでは膵管に異常はなく、下部、肝門部、肝内胆管の狭細化、肝内胆管拡張を認めた。ERCPでは下部胆管の狭細化を認めた。肝生検の病理所見では、小葉構造は軽度乱れ、門脈域は浮腫状で線維性に拡大し、リンパ球主体の炎症細胞浸潤を認めた。細胆管増生も認め、胆管上皮の配列不整や内腔の不整像のみで破壊性胆管炎や肉芽腫性胆管炎はみられなかった。小葉内には単細胞壊死、巣状壊死、zonal necrosisを認めた。IgG4免疫染色では門脈域にごく少数の陽性細胞を認めた。胆管病変、肝胆道系酵素上昇、AMA M2陽性、HLADR4陽性、AIHスコア6点より肝機能障害の原因として1.原発性胆汁性肝硬変(PBC)+AIP、2.AIP+原発性硬化性胆管炎(PSC)、3.AIP伴う胆管病変(SC with AIP)が疑われたが、IgM低値、病理組織学的所見、胆管病変の特徴、PSL内服にて速やかに肝胆道系酵素、胆管病変の改善を認めたことから、SC with AIPの可能性が高いと考えられた。【結語】AIPの経過中にAMAM2陽性の肝機能障害を呈した1例を経験した。AIPとPBCまたはPSCの合併を検討する上で示唆に富む症例であった。
索引用語 胆管病変, 肝機能障害