セッション情報 一般演題

タイトル 47:

膵癌の癌性腹膜炎による腸閉塞にオクトレオチドが奏効した1例

演者 藤本 千夏(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科)
共同演者 藤森 尚(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科), 大江 真里(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科), 太田 聡(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科), 横田 昌樹(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科), 澄井 俊彦(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科), 船越 顕博(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科)
抄録 【はじめに】オクトレオチドは持続性のソマトスタチンアナログ製剤であり、進行・再発癌患者の緩和医療における消化管閉塞に伴う消化器症状の改善という効能追加が認められた。今回我々は膵癌の癌性腹膜炎による腸閉塞に対してオクトレオチドの投与で著明な症状の改善が得られた一例を経験したので報告する。【症例】58歳男性。2006年7月に膵尾部癌、肝転移、腹膜播種、消化管浸潤と診断し、8月より化学療法(Gem(1000mg/m2,day1,8)+S1(100mg/day,day1-14))を開始した。以後外来化学療法を継続していたが、11月腹痛、腹部膨満感が出現した。腹部Xpで二ボーを認め、膵癌による腹膜播種、消化管浸潤による腸閉塞と診断した。TPN管理を行い、イレウス管の挿入を試みた。しかし、胃体中部よりの狭窄のため、内視鏡下でも挿入が困難であった。ガストログラフィン造影では胃体上部から前庭部にかけて腫瘍浸潤による狭窄が高度で弓隆部は著明に拡張していた。造影剤は弓隆部に停滞し、十二指腸への流入が少量ずつであり、近位空腸まで造影剤の流入が確認された。十二指腸から小腸には明らかな狭窄の所見を認めなかったが、腹部CTでは小腸拡張が多数認められ、複数の狭窄部位の存在が考えられた。ストーマ造設、ステント等の外科的処置は困難であると判断し、TPN管理とともにオクトレオチドの投与を開始した。開始後、腹部症状は軽快し、効果を認め、マイクロスフェア型徐放製剤に切り替えた。その後、排便、排ガスもみられたが、腹部Xp上、ニボー、腸管拡張に変化はなかった。経過中、嘔吐嘔気はみられず、本人の希望もあり、経口摂取を行った。経過順調で3月に転院となった。【まとめ】オクトレオチドは癌性腹膜炎による消化管閉塞に伴う消化器症状に有効である。また徐放製剤は月1回の投与で効果を認め、患者のQOLの面からも有用と考えた。
索引用語 腸閉塞, オクトレオチド