セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
肝臓-その他
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タイトル |
消P-726:当院における肝膿瘍20症例の臨床的検討
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演者 |
野村 祐介(川崎病院・消化器内科) |
共同演者 |
西田 悠(川崎病院・消化器内科), 竹内 庸浩(川崎病院・消化器内科), 多田 秀敏(川崎病院・消化器内科), 前田 哲男(川崎病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】肝膿瘍は治療に難渋することの多い重症感染症であり、細菌性かアメーバ性かの判別が治療を行う上で重要となる。当院で経験した細菌性およびアメーバ性肝膿瘍についてその臨床的特徴を明らかにする。【方法】対象は2007年1月から2011年1月までに当院で入院加療を行った肝膿瘍症例20例(男性13例、女性7例)。19例に経皮経肝膿瘍ドレナージ術(PTAD)を、1例に経皮経肝膿瘍穿刺吸引法を行った。細菌性およびアメーバ性肝膿瘍につき、その背景因子、臨床像、治療経過、ドレナージ術の有用性と安全性について検討を行った。【成績】PTAD手技は全例に成功した。結果は細菌性15例、アメーバ性4例、不明1例であった。細菌性肝膿瘍は平均年齢69.9歳。基礎疾患として6例に糖尿病が見られ、2例に胆嚢結石の既往があった。全例が単発性であり、大きさは平均66mm(26~120mm)。部位は右葉12例、左葉3例であった。原因菌はKlebsiella peumoniaeが5例と最多であった。全例が抗生剤の投与にて治癒した(セフェム系10例、カルバペネム系5例)。1例は2ヵ月後と1年2ヶ月後に2回再発した。アメーバ性肝膿瘍は全例が男性で平均年齢54.5歳。3例が単発性、1例が多発性であった。単発例のうち2例は右葉、1例は左葉に位置していた。3例で血中アメーバ抗体陽性であったがHIV抗体陽性例は認めなかった。早期診断が困難な症例が多く、病歴(性風俗歴、渡航歴)が参考になった。1例でアメーバ赤痢を認めた。全例メトロニダゾールの内服にて治癒し再発例は認めなかった。細菌性およびアメーバ性肝膿瘍による死亡例は認めなかった。PTADによる重篤な合併症も認めなかった。【結論】PTADは全例に成功し、また重篤な合併症も見られず、原因菌の同定に有用かつ安全な手技であると考えられた。アメーバ性肝膿瘍の早期診断は難しく、検査所見とともに病歴・既往歴・患者背景の考慮が重要と考えられた。今回の20例から細菌性およびアメーバ性肝膿瘍の臨床的特徴につき比較検討し報告する。 |
索引用語 |
肝膿瘍, PTAD |