セッション情報 パネルディスカッション2

タイトル 243:

当院におけるダブルバルーン小腸内視鏡検査の現状

演者 松井 謙明(麻生飯塚病院・消化器内科)
共同演者 赤星 和也(麻生飯塚病院・消化器内科), 中村 和彦(九州大・病態制御内科), 遠藤 伸吾(麻生飯塚病院・消化器内科), 村田 篤彦(麻生飯塚病院・消化器内科), 本田 邦臣(麻生飯塚病院・消化器内科), 木村 光秀(麻生飯塚病院・消化器内科), 大内 二郎(麻生飯塚病院・消化器内科), 久保川 賢(麻生飯塚病院・消化器内科), 本村 廉明(麻生飯塚病院・消化器内科)
抄録 ダブルバルーン小腸内視鏡検査(DBE)はその登場まで観察が困難であった全小腸の観察及び処置を可能にしたのみならず、挿入困難例における大腸内視鏡検査、処置困難であった胃切除後の小腸病変に対する処置を容易にした。当院においては平成16年6月の導入以来、数多くのDBEを施行してきたので、その現状について報告する。平成16年6月8日より平成19年3月13日の2年9ヶ月の間に当院にて施行したDBEの総件数は229件、139人であった。男女比は男性129件(78人)、女性100件(61人)、年齢は18歳から91歳で平均年齢は64.1歳、DBEのアプローチは経口88件、経肛門141件であった。一人当たりの検査回数は1回から最大10回、経口、経肛門両方の検査を施行した症例は119件(46人)で、そのうち全小腸観察を行ったのは29件(10人)であった。DBEの適応は出血が89件(44人)と最も多く、CTなどの他の画像異常40件(23人)、貧血の精査20件(10人)、炎症性腸疾患9件(7人)、腹痛7件(5人)、他の消化管に異常を認めたための小腸検査7件(4人)、ポリポーシス6件(2人)等であった。また、大腸内視鏡挿入困難例に対する大腸検査目的が42件(39人)、Biiroth II法再建術後胃におけるERCP目的が6件(2人)であった。検査で何らかの所見があったものは115件(71人)で、原因別に見ると出血例で89件中37件(44人中24人)、画像異常で40件中24件(23件中12人)、貧血で20件中4件(10人中4人)であった。その一方で、出血例においては、出血源とされる病変を特定できたものは11件(10人)のみで、同病変に対して内視鏡中に治療を行ったものは4件(4人)に過ぎなかった。また、炎症性腸疾患、ポリポーシスでは全例優位所見を認め、大腸挿入困難例ではDBEにて42件中38件(39人中35人)で全大腸観察が可能であった。全検査で合併症は認めなかった。DBEは今まで到達困難であった小腸や挿入困難例における大腸病変の検索、治療に有用な手段であるが、病変の検出率は必ずしも高くなく、今後の検討を要すると考えられた。
索引用語 ダブルバルーン小腸内視鏡, 小腸検査