セッション情報 一般演題

タイトル 237:

回盲弁から離れ単発性に認められた回腸単純性潰瘍の1例

演者 前川 智(産業医科大学病院 消化器・代謝内科)
共同演者 村瀬 貴之(産業医科大学病院 消化器・代謝内科), 山崎 雅弘(産業医科大学病院 消化器・代謝内科), 田口 雅史(産業医科大学病院 消化器・代謝内科), 久米 恵一郎(産業医科大学病院 消化器・代謝内科), 芳川 一郎(産業医科大学病院 消化器・代謝内科), 永田 直幹(産業医科大学病院 消化器・内分泌外科), 大槻 眞(産業医科大学病院 消化器・代謝内科)
抄録 症例は58歳、男性。2004年より時折腹痛を認めていた。2006年6月大腸癌検診で便潜血陽性であったため、当科を受診した。理学所見上、腹部に圧痛等の異常を認めず、血液検査上も異常を認めなかった。上下部消化管内視鏡検査でも異常を認めなかったため、腹部CT検査を行った。CTでは、回腸に壁肥厚を認め、腸間膜動静脈に沿って1cm前後のリンパ節が散在しており、炎症性腸疾患や小腸腫瘍が疑われた。小腸造影では、回腸に陥凹とひだの集中を認めたが、管腔の狭小化や造影剤の通過障害は軽度であった。下部消化管内視鏡検査を再検したところ、回盲弁より口側に約50cm離れた部位に管腔の約1/3周を占める潰瘍性病変を認めた。ひだ集中を伴う楕円形の打ち抜き潰瘍であり、生検結果はリンパ球の浸潤を認めるのみで、悪性像は見られず、単純性潰瘍の可能性が高いと考えられた。ステロイド内服等の治療も考慮したが、単純性潰瘍としては好発部位と異なっており、腫瘍性病変の可能性が否定できず、内視鏡的な経過観察も困難な部位であり、また本人・家族が外科治療を希望したため、腹腔鏡下小腸切除術を施行した。手術所見では、回盲部より約50cmの回腸に径10mmの単発性の潰瘍性病変を認め、病理組織所見より回腸単純性潰瘍と診断した。単純性潰瘍は回盲部に好発することが多く、回盲弁から離れた部位に単発性に発生することは稀であり、文献的考察を加え報告する。
索引用語 単純性潰瘍, 回腸