セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 104:全身性エリテマトーデスに併発したサイトメガロウイルス食道炎の一例 |
演者 | 江里口 芳裕(九州大学大学院 病態修復内科学) |
共同演者 | 阿倍 立郎(九州大学大学院 病態修復内科学), 三宅 勝久(九州大学大学院 病態修復内科学), 中島 衡(九州大学大学院 病態修復内科学), 磯辺 大地(九州大学大学院 病態修復内科学), 平野 元(九州大学大学院 病態修復内科学), 内野 慶太(九州大学大学院 病態修復内科学), 在田 修二(九州大学大学院 病態修復内科学), 木本 泰孝(九州大学大学院 病態修復内科学), 馬場 英司(九州大学大学院 病態修復内科学), 下野 信行(九州大学大学院 病態修復内科学), 矢田 親一郎(九州大学大学院 病態機能内科学), 原田 実根(九州大学大学院 病態修復内科学) |
抄録 | サイトメガロウイルス(CMV)は、成人の多くに潜伏感染しており、宿主の免疫機能の低下により再活性化し、肺や消化管などの臓器に障害を及ぼすことが知られている。今回我々は比較的稀なサイトメガロ食道炎を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。 症例は55歳女性。2005年9月の検診で肝障害を指摘され、精査にて多発性筋炎が疑われるも放置。2006年11月に転倒、意識レベル低下のため近医入院。汎血球減少、抗核抗体陽性、抗ds-DNA抗体陽性、中枢神経障害、心膜炎、筋炎等の症状より全身性エリテマトーデス、中枢神経系ループスと診断され、11月20日に当院転院となった。消化器症状は乏しいもののPSL40mg内服中及び、便潜血陽性のため、12月14日に上部消化管内視鏡検査を施行した。上部食道から食道胃接合部にかけて後壁側を中心に約1/3周を占める潰瘍性病変を認めた。病変の一部は白苔を伴い、中部食道には深掘れ潰瘍を認めた。食道胃接合部付近では全周性にびらんを認めた。また上部食道にはカンジダ食道炎を認めた。潰瘍部からの病理組織検査にて核内封入体を認めたためCMV食道炎と診断され、12月21日よりganciclovil 400mg/日の静脈投与を開始した。同時期よりCMV感染症による血球貪食症候群、血管内播種性症候群を併発、貧血と血小板減少が進行し、12月23日に吐血。緊急上部消化管内視鏡検査にて、中部食道から滲出性の出血を認め、トロンビン散布を行った。その後、トロンビン内服、輸血、メシル酸ガベキサート、AT-III製剤、オメプラゾール、ganciclovil投与による保存的治療にて1月18日の内視鏡検査にてCMV食道炎は軽快。経過中の12月18日と12月26日の血中CMV抗原はともに陰性であった。本症例では消化管内視鏡検査時の組織検査により確定診断を得た。免疫機能低下患者における食道炎では、CMV感染も念頭に置いた消化管内視鏡検査が重要と考えられた。 |
索引用語 | サイトメガロウイルス食道炎, 全身性エリテマトーデス |