セッション情報 シンポジウム3

タイトル 研-30:

脳出血を契機に発見されたインスリノーマの1例

演者 坂上 祐樹(長崎県離島医療圏組合 五島中央病院 外科)
共同演者 朝長 哲生(長崎県離島医療圏組合 五島中央病院 外科), 川上 俊介(長崎県離島医療圏組合 五島中央病院 外科), 大野 毅(長崎県離島医療圏組合 五島中央病院 外科), 古井 純一郎(長崎県離島医療圏組合 五島中央病院 外科), 深堀 正美(長崎県離島医療圏組合 五島中央病院 内科)
抄録 【症例】75歳、男性【現病歴】平成18年5月30日脳梗塞発症し、入院加療を受け、その後近医にて経過観察されていた。平成18年7月19日脳出血を発症し、内科入院。約2週間昏睡状態であったが覚醒し、経口摂取可能となった。脳出血発症後28日目、振戦、発汗を認め、血糖値を測定すると33mg/dlと著明な低下を認めた。【現症】血圧:124/74mmHg、脈拍:90/分整、体温:37.4℃。JCS:10~20。右半身不全麻痺あり。胸腹部に異常なし。【血液検査所見】空腹時血糖値:20~70mg/dl、血中インスリン値360.0µg/L(正常値:3.06~16.9)、C-ペプチドが7.2ng/ml(正常値:0.61~2.09)。検血、肝および腎機能は正常であった。【画像所見】腹部造影CTにて、膵体部に約17mm大の多血性の腫瘤像を認めた。【臨床経過】その後も低血糖発作を頻繁に繰り返し、再三のブドウ糖液(600~1200kcal/day)の投与を必要とした。脳梗塞、脳出血後と手術のリスクは高かったが、血糖コントロール不能であったため、脳出血発症後88日目、手術を行った。【手術所見】膵体部に単発で、境界明瞭な腫瘤を認めたため、核出術を行った。腫瘍近傍の8番リンパ節の腫大が見られたため、これを摘出した。【病理診断】インスリノーマと診断された。リンパ節転移は認めなかった。【術後経過】術後低血糖発作は消失したが、術後しばらく高血糖が続き、インスリン投与を必要としたが、術後約2週間後より血糖値がほぼ正常化した。【まとめ】脳出血を契機に、低血糖発作を頻回に繰り返すインスリノーマの1例を経験した。我々が文献検索した限りでは、脳出血を契機に発見されたインスリノーマの症例報告はなかった。
索引用語 インスリノーマ, 脳出血