抄録 |
消化管の重複癌の組み合わせでは、胃と大腸癌の組み合わせが多く、異時性癌の早期発見のためのフォローアップが重要である。最近、初発が胃癌穿孔で手術を施行し、3年3ヵ月後に大腸癌イレウスをきたして手術を施行した異時性胃大腸重複癌の1例を経験したので報告する。症例は71歳男性。近医にて、糖尿病にて通院加療を受けていたところ、3月9日夜11時頃突然左上腹部痛出現。疼痛続くため、朝になって近医受診。腹部レ線で遊離ガスを認められ、穿孔性腹膜炎の診断で10日朝、緊急紹介される。上腹部に圧痛高度で、デファンスを認めた。術前胃内視鏡を施行したところ、胃角部に巨大潰瘍を認め、生検にてClassVの診断を得て、胃癌穿孔の診断で緊急手術施行。手術は、2/3胃切除術+リンパ節郭清、胆嚢摘出術を施行。洗浄腹水細胞診が、ClassIVと陽性であったので、閉腹前にMMC10mg注入した。術後病理診断は、Well differentiated adenocarcinoma, TypeIII, T3(se), INFβ, ly0, v0, n5:1/1, H0,P0で、stageIVであった。術後肺炎を来たし、気管切開など要したが、術後23日目に軽快退院。以後近医でフォローを受けていたところ、胃癌術後2年半過ぎから便秘傾向出現。3年後の5月23日嘔気を伴う腹痛出現で、近医でイレウスの診断を受け、精査加療のため、当科紹介入院。イレウス管留置し減圧を図り、大腸内視鏡施行したところ、下行結腸に全周性の腫瘍性狭窄を認め、生検にてgroupVの診断を得た。大腸癌イレウス(下行結腸癌)の診断で、6月10日手術施行。手術は下行結腸切除術施行。術後病理診断は、Well differentiated adenocarcinoma, si(retroperitonium), ly0, v0, n231:1/1,stageIIIaであった。術後外来フォロー中、大腸癌術後1年目のフォローCTで腹腔内に再発腫瘤出現。保存的に化学療法継続していたが、大腸癌術後2年目に腸閉塞状態が出現し、横行結腸S状結腸バイパス術施行し、胃癌穿孔から6年経過した現在、加療継続中。異時性重複癌では、第2癌は進行癌で発見される報告が多く、異時発生癌の早期発見が重要である。 |