セッション情報 一般演題

タイトル 118:

内視鏡的粘膜下層剥離術、化学放射線療法後に硬膜内髄外転移を来たした食道癌の1例

演者 杣田 真一(北九州市立医療センター 消化器内科)
共同演者 貞元 洋二郎(北九州市立医療センター 消化器内科), 原口 和大(北九州市立医療センター 消化器内科), 奈須 俊史(北九州市立医療センター 消化器内科), 井原 裕二(北九州市立医療センター 消化器内科), 三澤 正(北九州市立医療センター 消化器内科), 豊島 里志(北九州市立医療センター 病理部), 吉兼 浩一(北九州市立医療センター 整形外科)
抄録 症例は66歳男性。2005年5月急性膵炎にて前医入院中に本人の希望で行った上部消化管内視鏡検査施行で中部食道にルゴール不染帯を認め、生検で扁平上皮癌の診断であった。6月当科紹介受診。食道Mt領域に約1/4周性のIIc病変を認め、術前診断は深達度m1-m2と診断した。超音波内視鏡、CT検査にて明らかな転移の所見なく、8月内視鏡的粘膜下層剥離術を施行した。切除標本の病理組織学的評価にて、ly0、v0、LV(-)、LM(-)であったが、深達度は一部で粘膜下層への浸潤を認めた。御本人の希望により手術は行わず、10月12日から11月21日まで化学放射線療法を追加した(50.4Gy/28Fr、5FU+CDDP)。以後、外来にて経過観察していた。2006年2月頃より左大腿から下腿の外側にかけての痺れ、疼痛が出現するようになった。7月頃より左殿部痛が出現するようになり当院整形外科受診。MRI施行しL1/2レベルに腫瘤を認めたが直接の症状の原因とはなっていないため経過観察をすることとなった。しかし、疼痛増強し9月12日整形外科入院。腰椎MRI検査にてL1/2レベルに15×11×27mm大の腫瘤を認めた。ミエロ後CTにて同様にL1/2レベルに15×13×27mm大の腫瘤を認めた。また、この腫瘤の足側の硬膜嚢内部に硬膜に沿った結節集簇様の3×7mm大の病変を認めた。整形外科にて椎弓切除、脊髄腫瘍摘出術を施行された。切除腫瘍の病理組織学的評価にて扁平上皮癌の診断であり、食道癌よりの転移と考えられた。術後、10月4日より11月8日の間、放射線療法を施行(46Gy/23Fr)。11月28日の腰椎MRI検査では再発の所見は認められなかった。食道癌脊髄転移の報告は非常にまれで、医学中央雑誌にて我々の検索し得た範囲では1983年から2007年の間で1例の報告を認めるのみであった。今回我々は非常にまれな転移様式を示す食道癌の一例を経験したので若干の考察を加え報告する。
索引用語 硬膜内髄外転移, 食道癌