セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 112:食道病変に対するNBIの有用性についての検討 |
演者 | 長門 仁(長門記念病院 消化器科DELIMITER大分医療センター 消化器科) |
共同演者 | 松本 克彦(長門記念病院 消化器科), 佐保 博美(長門記念病院 消化器科), 福地 聡士(大分医療センター 消化器科), 秦 順子(大分医療センター 消化器科), 上尾 哲也(大分医療センター 消化器科), 本田 浩一(大分医療センター 消化器科), 室 豊吉(大分医療センター 消化器科), 村上 和成(大分大学医学部 総合診療部), 藤岡 利生(大分大学医学部 総合診療部) |
抄録 | 【はじめに】狭帯域内視鏡システム(narrow band imaging:NBI)は内視鏡観察光の分光特性を変更することで粘膜表面の血管や微細模様の強調表示を行う技術で、消化管の早期癌、特に咽頭癌、食道癌のスクリーニングに非常に有効であるとされている。当院では平成18年7月にNBIを導入したが、導入前後での食道疾患の拾い上げについて比較を行い、NBIの食道病変に対する有用性について検討を行ったので報告する。【対象および方法】NBI導入前6ヶ月間(平成18年1月~6月)に施行された上部消化管内視鏡検査(以下GF)606例と導入後6ヶ月間(平成18年7月~12月)に行われた712例における食道疾患の発見率について比較検討した。【結果】逆流性食道炎:前62例(10.9%)、後162例(22.7%)、dysplasia(軽度~中等度):前3例(0.49%)、後3例(0.42%)、食道表在癌:前0例(0%)、後4例(0.56%)、食道進行癌:前0例(0%)、後1例(0.14%)。食道表在癌の4例はいずれも通常観察で何とか発見可能な病変であったが、NBI観察することでより容易に病変の指摘が可能であった。4例中2例は当院にてESDを行った。このうち1例は口腔内癌合併例でルゴール染色にて多数不染帯を認めたが、病変領域を決定するのにNBIが有用であった。また、通常観察では異常が認められずNBIにて小さな褐色領域を認めた症例が1例みられた。この症例は数mm大の極小病変であったため、生検を行っておらず診断が得られていないが現在厳重に経過観察を行っている。【考察】NBI導入後、食道疾患の発見が増えた理由としては、ハイビジョン化による画質の向上、NBI観察を行うことで食道病変への関心度が深まったことも関係していると思われた。NBIの利点としては、ルゴール染色のような苦痛がなく簡便に検査可能、特殊な技術を必要としない、ルゴール不染を複数認める場合でも病変部のみを的確に診断できるなどが挙げられる。逆にNBIの欠点としては、正常上皮が覆う基底層型上皮内癌では粘膜表面の血管新生が少なく、表面模様にも変化がないため発見困難であるという点である。NBIは食道疾患特に食道早期癌のスクリーニング検査として非常に有用な観察方法であると考えられた。 |
索引用語 | NBI, 食道表在癌 |