セッション情報 |
ワークショップ1
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タイトル |
W1-03:臨床病理学的特徴からみたcolitic cancerのサーベイランス
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演者 |
緒方 俊二(大腸肛門病センター高野病院) |
共同演者 |
山田 一隆(大腸肛門病センター高野病院), 大湾 朝尚(大腸肛門病センター高野病院), 野崎 良一(大腸肛門病センター高野病院) |
抄録 |
[目的] colitic cancerでは癌が浸潤性に進展し、低分化のものが多く、早期発見の困難性が指摘されている。そこでcolitic cancerの臨床病理学的特徴からサーベイランスの留意点を検討した。[対象および方法] 1994年~2005年におけるcolitic cancer症例8例を対象に臨床経過、病理組織から、サーベイランスにおける留意点を明らかにした。[結果] 男女比は4:4で平均年齢は50歳(35~74歳)であった。潰瘍性大腸炎(UC)発症から癌の発見までの期間は、1例は同時であったが、他の8例は10年以上 (10~20年)と長期経過観察中の発見であった。手術は全例に大腸全摘術(腹会陰式直腸切断術5例、回腸Jポーチ肛門吻合3例)を行なった。占拠部位は結腸4例、直腸4例で、肉眼形は1型1例、2型2例、3型2例、5型3例と分類不能例を3例認めた。また8例中4例に多発同時性癌を認めた。深達度では早期癌は1例で、7例はss/a1以深の進行癌であった。組織型は高分化1例、中分化1例、低分化3例、粘液癌3例と分化の低い傾向がみられた。4例に明らかなあるいは広範なdysplasiaを認め、4例とも多発癌を合併していた。リンパ節転移は6例に認めた(個数1個~32個)。予後は3例が腹膜再発、1例が局所再発にて死亡している。 [考察] 8例中7例は長期経過観察中に癌が発見されているが、その多くは進行癌で組織型も粘液癌、低分化腺癌など悪性度の高いものが多かった。うち3例は急速に進行し死亡した。また8例のうち半数は多発同時癌であり、全例にdysplasiaを認めた。Colitic cancerが早期のうちに発見することが難しいのは、UCの粘膜病変の多彩さ、癌の浸潤性、進行の早さなどのためと考えられる。今回の症例の中にも、定期的な内視鏡を行なっていたにもかかわらず、発見時にはリンパ節転移のある進行癌であった症例が存在した。Colitic cancerの早期発見には、定期的な内視鏡によるサーベイランスを行い、結節状変化の見られる病変部は表面の微細な変化を慎重に観察するとともに、現在提唱されている有所見部位を積極的に生検するtarget biopsy(狙撃生検)を行なうことも重要と思われた。 |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, サーベイランス |