セッション情報 一般演題

タイトル 170:

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行い追加外科手術でリンパ節転移を認めた最大径11mmの直腸カルチノイドの1例

演者 庄野 孝(済生会熊本病院 消化器病センター)
共同演者 八板 弘樹(済生会熊本病院 消化器病センター), 瀬戸山 博子(済生会熊本病院 消化器病センター), 塩屋 公孝(済生会熊本病院 消化器病センター), 上原 正義(済生会熊本病院 消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院 消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院 消化器病センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院 病理部), 山田 一隆(高野病院 外科)
抄録 症例は45歳、女性。既往歴、家族歴に特記事項なし。特に自覚症状はなかったが、健康診断で施行されたS状結腸内視鏡検査で下部直腸(Rb)に小指頭大の粘膜下腫瘍を指摘された。生検ではGroup1であったが、精査加療目的で当科外来へ紹介された。外来で施行された全大腸内視鏡検査では他に病変は認めなかった。粘膜下腫瘍は通常内視鏡検査では大きさ約10mm大で、表面粘膜はほぼ正常であった。頂部には陥凹や潰瘍形成は認めなかった。超音波内視鏡検査では第3層に主座を持つ境界明瞭な低エコー腫瘤として描出され、あきらかな固有筋層への浸潤はなかった。以上より直腸カルチノイドを疑った。腹部造影CTでは同部は淡く造影される10mm大の腫瘤として描出され、周囲リンパ節腫大は認めなかった。診断と治療を兼ねて内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行う方針とし、フレックスナイフを用いてESDを施行し一括切除を行った。病理組織学的検査では固有層深部から粘膜下層にかけて類円形の核と好酸性胞体を有する腫瘍細胞が索状、リボン状、一部腺管状に増殖しておりカルチノイドと診断した。大きさは11X9mmで脈管侵襲陰性、深部断端も陰性であったが、sm浸潤距離が4000μm以深であったため、リンパ節転移の可能性について十分なインフォームドコンセントのもと、超低位前方切除を行った。術後の病理結果では第1群リンパ節(#251)への転移を認めた。大腸カルチノイドは腫瘍径、中心陥凹や潰瘍の存在、脈管侵襲、壁深達度がリンパ節転移の指標とされているが、10mm大のカルチノイドの治療方針決定のためにはESDによる一括切除が有用と考えられた。今回11mm大のリンパ節転移を伴う直腸カルチノイドを経験したので文献的考察を加え報告する。
索引用語 直腸カルチノイド, 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)