セッション情報 一般演題

タイトル 256:

2回のIFN治療によってウイルス駆除がえられたC型肝硬変の1症例

演者 松本 修一(福岡徳洲会病院 総合内科)
共同演者 石田 素子(福岡徳洲会病院 総合内科)
抄録 【症例】53歳、男性【主訴】下腿浮腫【現病歴】約15年前に健診でHCV抗体陽性を指摘されるも放置していた.HCVの感染経路は不明.1ヶ月前より下腿のむくみを自覚し,体重が約10kg増加した.当院外来を受診したところ腹水の貯留をみとめ,精査加療目的にて入院となった.【身体所見】黄疸なし.腹部は膨隆著明だが軟で波動を認める.四肢は下腿浮腫著明.【検査成績】Hb 7.6g/dl, PLT 10.9万/μl, AST 53IU/l, ALT 42IU/lと貧血・血小板減少・トランスアミナーゼの上昇を認めた.肝予備能はChild-Pughスコア8点であり、腫瘍マーカーはAFP 3.6ng/mlと上昇はなかった. HCV グループ2,RNA 52KIU/mlであった.腹部造影CTでは大量の腹水を認め,肝は萎縮傾向であったが,明らかな占拠性病変は認めなかった.上部消化管内視鏡検査では食道静脈瘤(LmF2CbRC2)であった.【臨床経過】腹水と食道胃静脈瘤伴うC型肝硬変として,利尿剤による腹水コントロールを行ったところ利尿剤に対する反応は良好であった.食道胃静脈瘤に対して硬化療法を施行後,HCVに対する抗ウイルス療法をご本人が強く希望され,グループ2で低ウイルス群であったため,肝硬変例ではあるがウイルス駆除できる可能があると考え,IFNβ6MU連日投与を6週間施行したが1ヶ月で再燃した.その後インフォームドコンセントのもと,Peg-IFNα2aの90μg週1回投与を行った.治療期間中に血小板数は2.7万/μlにまで低下し,3回休薬したものの48週間治療を継続することができた.HCV-RNAは早期に陰性化し,治療終了6ヶ月後のRNAも陰性であった.治療終了後、ALT値は正常化し、Child-Pughスコアは8点から5点となった.【考察】本症例のようにHCVグループ2の症例では肝硬変例でもIFN治療によりウイルスを駆除できる可能性が高いので,年齢や合併症の程度によっては積極的にウイルス駆除を目的としたIFN治療の可能性を念頭に入れておかなければいけないと考えられた.
索引用語 インターフェロン, 肝硬変