セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 69:閉塞性小腸炎を合併した回腸カルチノイド腫瘍の1例 |
演者 | 松坂 朋子(国家公務員共済組合連合会千早病院内科) |
共同演者 | 犬塚 貞利(国家公務員共済組合連合会千早病院内科), 綾部 俊一郎(国家公務員共済組合連合会千早病院内科), 明石 良夫(国家公務員共済連合会千早病院外科), 具嶋 正樹(九州大学形態機能病理学), 王寺 裕(九州大学形態機能病理学), 八尾 隆史(九州大学形態機能病理学), 松本 主之(九州大学病態機能内科学), 飯田 三雄(九州大学病態機能内科学) |
抄録 | 症例は73歳女性。平成18年3月検診にて便潜血陽性を指摘され、当科紹介受診。4月3日大腸内視鏡検査施行。回腸末端まで観察したが、大腸に微小ポリープと憩室を認めるのみであった。6月28日排便時に新鮮血下血あり、7月13日当科にて再度大腸内視鏡検査を施行。回腸を観察したところ、終末回腸に、頂部に浅い潰瘍を伴う粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた。生検でカルチノイド腫瘍と診断され、精査目的に入院となった。血液検査で5-HIAA16.8mg/day、セロトニン765ng/mlと上昇していたが、顔面紅潮や下痢、喘息様発作などのカルチノイド症候群はみられなかった。腹部造影CTでは回盲部腫瘤と周囲の脂肪組織の混濁、リンパ節腫大を認めたが肝転移はなかった。小腸病変は超音波内視鏡ではやや低エコー性の充実性腫瘤として描出された。なお、この超音波内視鏡検査時の前処置時に新鮮血下血がみられたが、検査時には腫瘍からの出血はなかった。ゾンデ法小腸X線検査では、回腸末端に約4cm大で管腔全体を占めるような腫瘤陰影と腫瘍口側回腸に拡張を認めたが明らかな浮腫像や潰瘍はみられなかった。手術目的に外科転科した翌日から38度台の発熱と腹痛、下血が出現し、貧血の進行を認めた。絶食、抗生剤投与、輸血により症状改善した後、手術(右半結腸切除術)を施行した。新鮮切除標本では腫瘍は6.3×5.0cm大で、漿膜下まで浸潤したカルチノイドでリンパ節転移を認めた。また、口側回腸に腫瘍とやや離れて出血を伴う縦走潰瘍を認め、組織学的に虚血性病変に合致する所見がみられたため、閉塞性小腸炎と診断した。小腸のカルチノイド腫瘍は欧米では頻度が高いが、本邦では稀である。また、閉塞性腸炎を合併した小腸カルチノイド腫瘍の報告は少なく、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 回腸カルチノイド, 閉塞性小腸炎 |