セッション情報 シンポジウム2

タイトル S2-03:

拡大内視鏡を用いた早期胃癌の診断学の構築

演者 福田 英一郎(国立病院機構 長崎医療センター)
共同演者 宿輪 三郎(長崎大学医学部第二内科), 松島 加代子(長崎大学医学部第二内科), 石居 公之(国立病院機構 長崎医療センター), 井上 直樹(長崎大学医学部第二内科), 岡本 健太(長崎大学医学部第二内科), 町田 治久(長崎大学医学部第二内科), 山口 直之(長崎大学医学部第二内科), 塩澤 健(国立病院機構 長崎医療センター), 西山 仁(国立病院機構 長崎医療センター), 塩澤 純一(長崎大学医学部第二内科), 大仁田 賢(国立病院機構 長崎医療センター), 池田 幸紀(長崎大学医学部第二内科), 磯本 一(長崎大学医学部第二内科), 水田 陽平(長崎大学医学部第二内科), 河野 茂(長崎大学医学部第二内科)
抄録 【緒言】拡大内視鏡を用いた消化管腫瘍の診断は大腸では腫瘍の腺管構築の違いにその主眼が置かれているのに対し、胃では腫瘍の血管構築の違いに主眼が置かれている。我々は、胃腫瘍(胃腺腫および早期胃癌、胃MALTリンパ腫)に染色法を用いた拡大内視鏡検査を施行しており、今回、その特徴的な腺管構造と病理学的な関連性について報告する。【対象, 方法】対象は、2002年1月より2005年8月までに当院でクリスタルバイオレットを用いた色素拡大内視鏡観察を施行した内視鏡的または外科的に切除された胃腺腫および早期胃癌200例、胃MALTリンパ腫6例。【検討項目】1.腫瘍分化度による腺管構造の解析(密度、大小不同、無構造)。2.内視鏡像と組織の対比【成績】1.拡大観察にて各疾患別に多く見られた所見を示すと、腺腫では、腺管は均一で密度の増加を認めたのに対して、Tub1では腺管は多くの部分で保持され、大小不同を認め、一部に無構造部分を有していた。Tub2では、腺管は小型化し、無構造を有する部分が増加した。低分化癌では大部分で腺管が保持されておらず、無構造が大部分を占めた。Sigでは無構造な部分と島状残存や二次的な特徴的な異型腺管を認めた。また、胃MALTリンパ腫では病変部に正常腺管の混在を認め、癌のように腫瘍部と正常部との境界が明瞭ではなかった。腺管は全体に大型化・膨化した腺管と、腺管が小型・崩壊し無構造となった部分が混在していた。一部にリンパ濾胞の出現を認めた。2.拡大内視鏡で認められた腺腫や癌の大型腺管、小型腺管は組織と相関し、無構造は上皮欠損であった。Sigでは腺窩上皮の2次的な変化と考えられた。胃MALTリンパ腫の腺管の変化は腺窩上皮の拡張した変化や崩壊消失していく変化と考えられた。【結論】クリスタルバイオレッドの染色性、拡大観察による腺管の密度、腺管の大小不同、腺管の無構造などを見ることで腺腫、分化型癌、未分型癌、MALTリンパ腫の鑑別に有用であると考えられた。
索引用語 早期胃癌, 拡大内視鏡