セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 208:肝内胆管拡張をきたしたグリソン領域アミロイド沈着症の1例 |
演者 | 美馬 浩介(熊本大学大学院消化器外科) |
共同演者 | 岩槻 政晃(熊本大学大学院消化器外科), 近本 亮(熊本大学大学院消化器外科), 水流添 周(熊本大学大学院消化器外科), 今村 裕(熊本大学大学院消化器外科), 岡部 弘尚(熊本大学大学院消化器外科), 阿部 真也(熊本大学大学院消化器外科), 木下 浩一(熊本大学大学院消化器外科), 高森 啓史(熊本大学大学院消化器外科), 金光 敬一郎(熊本大学大学院消化器外科), 廣田 昌彦(熊本大学大学院消化器外科), 馬場 秀夫(熊本大学大学院消化器外科) |
抄録 | 症例は67歳男性。平成10年に検診の上部消化管造影検査で胃のひだ走行異常を指摘され、消化管アミロイドーシスの診断となった。以後は前医で経過観察されていた。平成18年11月、発熱、上腹部痛を認め、前医を受診された。CT, MRIを行ったところ、左肝内胆管の拡張を認め、当院消化器内科へ紹介入院となった。肝内胆管癌の疑いで12月、当科へ転科となった。体温は36.9℃、眼球強膜に黄染は認めなかった。腹部は平坦、軟で心窩部に圧痛を認めた。WBCは11500/μl、CRPは16.6mg/dlと炎症所見を認めたが、血清ビリルビンは0.5mg/dl、肝逸脱酵素、胆道系酵素の上昇も認めなかった。 CA19-9が199.6U/mlと高値を示した。腹部超音波検査では、肝内胆管B2,B3の拡張を認めた。腹部CTでは左肝内胆管が拡張し、門脈左枝末梢の描出は不良であった。左右胆管分岐部や肝門部に明らかな腫瘤影は認めなかった。MRCPでは左肝内胆管に不整な拡張を認めた。結石を疑う陰影欠損は認めなかった。PTCDをB3より施行したが、B2,B4の描出不良であった。左肝管は拡張良好で、壁不整は認めなかった。腹部血管造影において、門脈造影で門脈左枝の狭窄を認めた。胆汁細胞診はclass IIIであった。以上より術前診断は、B2,B3分岐部肝内胆管癌を疑い、平成19年1月22日に肝左葉切除術を施行した。術中所見は、エコーで胆管狭窄部に腫瘤は確認できなかった。肝十二指腸間膜のリンパ節腫大も認めなかった。左肝管断端を術中迅速病理へ提出したが、陰性であった。術後経過は良好で、術後14日目に退院となった。病理組織検査は、グリソン域が好酸性無構造物の沈着により著明に拡大していた。好酸性無構造物は、Congo-red染色陽性で、KMnO4処理Congo-red染色で抵抗性のnon-AA typeのアミロイドであった。胆管上皮には異型細胞はみられず、また、肝細胞の類洞壁にアミロイドの沈着は認めなかった。以上より、グリソン域にアミロイドが沈着したことによる胆汁鬱滞が起因となった胆管炎と診断した。我々が検索した範囲では文献報告は少なく、非常に稀な症例と思われたので、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 胆管拡張, アミロイドーシス |