セッション情報 パネルディスカッション2

タイトル 244:

カプセル内視鏡のない施設でのダブルバルーン小腸内視鏡検査の状況

演者 石田 哲也(大分赤十字病院 消化器科)
共同演者 一木 康則(大分赤十字病院 消化器科), 新関 修(大分赤十字病院 消化器科), 永松 秀康(大分赤十字病院 消化器科), 江藤 寛之(大分赤十字病院 消化器科)
抄録 ダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)の登場により小腸疾患の診断、治療は飛躍的に進化したが、カプセル内視鏡(CE)をまだ導入できない当院のような中規模病(340床)での小腸疾患の診断、治療の現状を報告する。 [対象と方法] 対象は2005年3月より当院で小腸検査、治療を目的としてDBEを試行した43症例67件を対象とした。主要な適応は出血源不明の消化管出血、原因不明の腹痛精査、炎症性腸疾患の精査、原因不明の下痢の精査、ポリープ切除、イレウス管挿入などであった。使用機種はフジノン東芝ES社製DBE: EN-450T5である。[成績.1] 43症例中22症例で病変が同定され有所見率は55%であった。意図した場合の全小腸観察率は50%であった。合併症として小腸粘膜剥離を1例に認めた。穿孔や急性膵炎などの重篤な合併症は現在のところ認めない。出血源不明の消化管出血(OGIB)例13例のうち10例で出血源を確定し、病変の内訳はangiodysplasia, carcinoid, pyogenic granuloma, メッケル憩室、多発小腸憩室などであった。腹痛精査例8例のうち、病変を認めたのは2例で遠位回腸に小びらんを認めた。下痢精査例4例では内視鏡的、病理学的に所見を認めた症例はいなかった。[問題点.1] OGIB精査のさい、両方向より挿入する後も診断確定できないことがあるが、CEを導入できていないので再出血の時どちらの方向より挿入すべきか苦慮する。当院でそのような症例が4例あり、DBE前の血管造影、CT, 小腸造影などの所見を総合し再挿入の方向を決定している。4例中2例は経肛門的に挿入した。再挿入後2例で病変を発見できangiodysplasiaと憩室であった。再挿入しても出血源を同定できず出血が自然に収まり経過観察した症例が2例あった。[問題点.2] 検査にさいし人員、時間、費用がかさむ(小腸内視鏡の保険点数は1700点であるがオーバーチューブ代は定価で95000円である。 最低2名の人員が長時間拘束される)。 [まとめ] DBEは小腸疾患の診断、治療に不可欠な存在であるが、DBE検査単体では医療従事者、病院にとっては負担である。今後、手技の向上、一人法の確立、保険医療側よりのサポートなどが小腸疾患診療のレベル向上に必要と思われる
索引用語 小腸, DBE