セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 198:EST後の十二指腸穿孔に対してENBDによる保存的治療が奏効した一例 |
演者 | 江口 大樹(福岡赤十字病院外科) |
共同演者 | 横畑 和紀(福岡赤十字病院外科), 永松 伊織(福岡赤十字病院外科), 瀧田 麻佳(福岡赤十字病院外科), 頼 正恵(福岡赤十字病院外科), 井上 重隆(福岡赤十字病院外科), 本山 健太郎(福岡赤十字病院外科), 住吉 金次郎(福岡赤十字病院外科), 寺坂 禮治(福岡赤十字病院外科) |
抄録 | 症例は67歳の女性で、1週間以上続く上腹部痛を主訴に来院された。軽度の発熱と黄疸を認め、上腹部にBlumberg signを認めた。USでは胆道系の拡張および胆嚢腫大、壁肥厚を認め、内部には胆石を認めた。採血では肝胆道系酵素が上昇し、白血球の上昇を認めた。総胆管結石を疑い、同日ERCPを施行した。乳頭はやや腫大しており、その近傍には憩室を認めた。総胆管に可動性のある径5mm大の陰影欠損を認め、EST行い切石術を行った。ところがその後、腹痛改善せず、翌日の採血で発熱、炎症反応の上昇を認めた。腹部CTを行ったところ、右前腎傍腔に少量のairと脂肪織の混濁を認め、十二指腸穿孔が疑われた。再度ERCP施行し穿孔部の確認を行ったが、ERCでは明らかなleakは見られず、遺残結石は認めなかった。ENBDを留置し、絶食、TPNおよび抗生剤で保存的加療を行うこととした。ENBD留置後より上腹部痛は劇的に改善し、採血でも徐々に炎症反応の低下、肝胆道系酵素の改善が見られた。術後7日目から水分を開始し、術後15日目から食事を再開。術後18日目にENBDを抜去した。食事開始後も腹痛や発熱、肝胆道系酵素の上昇なく、術後23日目に退院された。ERCPの偶発症として十二指腸穿孔が起こる頻度は日本内視鏡学会によると0.01%と報告されている。とくに憩室を有する症例での頻度が高い。その対処として、十二指腸減圧チューブを留置する報告が多いが、本症例のようにENBDで保存的加療を行った報告は少ない。穿孔が疑われた際の診断、治療を中心に若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | EST, 十二指腸穿孔 |