セッション情報 シンポジウム3

タイトル 研-24:

プール入浴後よりキャンピロバクターに感染したと考えらえた腸炎の1例

演者 國武 泰史(社会保険田川病院 内科)
共同演者 前川 隆一郎(社会保険田川病院 内科), 宮島 一郎(社会保険田川病院 内科), 相野 一(社会保険田川病院 内科), 草場 喜美子(社会保険田川病院 内科), 野田 哲裕(社会保険田川病院 内科), 佐々木 優(社会保険田川病院 内科), 和田 史孝(社会保険田川病院 内科)
抄録 プール入浴後よりカンピロバクター腸炎に感染したと疑われた1例社会保険田川病院 内科○國武 泰史、前川 隆一郎、宮島 一郎、相野 一、草場 喜美子、野田 哲裕佐々木 優、和田 史孝【症例】15才、女性 【主訴】腹痛、下痢、下血 【既往歴】特になし【現病歴】2006年6月16日、プールに入った後37.5℃と発熱を認めたため、翌日近医受診。発熱、腹痛、水様性下痢と咳嗽を認めたため、感冒に伴う下痢と判断され、内服加療にて経過観察されていた。その後、解熱は認めたものの腹痛、下痢は継続しており、19日には血便を認めたため、6月20日精査加療目的にて当院内科紹介受診となる。【受診後経過】血圧98/48 脈拍90回/分 体温37,0℃ WBC6400(mono:11.7%),CRP:4.08mg/dlとCRPのみ上昇していた。6月23日大腸内視鏡検査施行した所、回腸末端に浅い潰瘍が散在、Bauhin弁は全周性の浅いびらん潰瘍を認め、大腸全体がヘモジデリンの沈着と考える黒褐色の斑が多数あり、血管透見は消失した所見を認めた。カンピロバクター腸炎を強く疑いエリスロマイシン400mg2×内服を開始した。その後、生検培養よりCampylobacter jejuniが検出され確定診断に至った。7月12日follow upのため大腸内視鏡検査施行した所、回腸末端、Bauhin弁共に瘢痕化しており、大腸の血管透見不良所見も改善していた。【考察】カンピロバクター腸炎は本菌に汚染された肉類に起因することが多いが、今回の症例はプール水の経口摂取が原因ではないかと考えられた。感染性腸炎は血便を呈することが多く、大腸内視鏡検査に際し鑑別診断上重要な位置を占めている。内視鏡所見により感染性腸炎の推定はできても確定診断には便培養が必要であるが、回盲部まで観察すればその内視鏡像、罹患部位の特徴から、起因菌もある程度推定可能なことがある。また感染性腸炎の病態解明という点でも大腸内視鏡検査は大変意義があり、積極的に施行されることが期待される。
索引用語 キャンピロバクター, プール入浴