セッション情報 一般演題

タイトル 254:

HCV抗体高力価陽性であったがC型急性肝炎と考えられた1症例

演者 石田 素子(福岡徳洲会病院 総合内科)
共同演者 松本 修一(福岡徳洲会病院 総合内科), 松林 直(福岡徳洲会病院 総合内科), 筋浦 立成(福岡徳洲会病院 総合内科)
抄録 症例は42歳男性。覚醒剤常用者でX-1年5月より1年間刑務所に収監されていた。X年6月18日に退所し、直後の6月20日から9月21日まで右大腿骨頭壊死で当院整形外科入院。入院時採血ではHCVAb陰性、HBsAg陰性で、入院中に輸血はなかった。X年12月19日38度台の発熱を認め、嘔気嘔吐が出現、食欲低下、腹痛はないが腹満感、倦怠感を認めるため22日近医を受診し、黄疸を指摘され当科紹介受診となった。刑務所退所後は飲酒はなく、セックスパートナーは一人であった。入院時バイタルは安定していたが、眼球結膜黄染著明、右季肋下に3横指肝を触知し同部位に叩打痛を認め、採血上は、AST1200IU/l,ALT2800IU/lと肝酵素上昇を認めた。急性肝炎の診断で安静、経過観察とした。入院後は発熱なく第2病日より経口摂取も可能となり、採血データも肝酵素は入院時が最高値で徐々に低下、肝機能低下も認めず良好に経過した。急性肝炎の原因としては今回入院時HCVAbの抗体価100と高値ではあったが、入院6ヶ月前の採血でHCVAb陰性であり、RIBA-3テストでc33cのみ陽性の結果からC型急性肝炎と診断した。サブタイプは2Aであった。退院後はウイルス駆除の時期の検討しながら経過観察する。【考察】C型急性肝炎の診断は通常HCV-RNA陽性 HCVAb陰性であるが、肝炎発症の時期とウイルス抗体出現の時期のとに違いによりHCVAb陽性の場合がありうる。このような場合、急性肝炎と診断するためには病歴が重要であり、RIBA-3テストもその診断に有用である可能性がある。
索引用語 C型急性肝炎, HCV抗体高力価陽性